GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第89回】

是正措置と予防措置について
是正措置と予防措置
1.CAPAとは
CAPAとは何であるかを考える。

図で示したCAPAを説明する。ある倉庫が火事となった。調査したところ、たばこの喫煙後の不始末が原因であった。その倉庫の周辺を禁煙として、再発防止策として管理することにした。火災が起きた倉庫の周辺を禁煙地区にしたことが、是正措置である。その倉庫と別の倉庫があったので、まだ火災は起きていないが、その倉庫も禁煙地区としたことが予防措置を実施することになる。予防措置は、まだ、起きていないがその事故が発生しないように対策することが予防措置である。CAPAとはこの是正措置と予防措置のことである。

同じ場所で再度同じことが起きないようにする(再発防止)ことが是正措置である。まだ起こっていない場所や設備で予測して防止することが予防措置である。この是正措置と予防措置をあわせてCAPA(Corrective Action & Preventive Action)である。CAPAの実施すべき範囲はあらゆる範囲に及ぶ。

内部情報として、逸脱やOOSなどの不適合、自己点検や年次照査で発見された問題点、不適合や好ましくない傾向が見つかり、再発を防止する必要がある品質等のリスクが対象となる。クレーム等の品質情報、当局査察や外部監査で受けた指摘事項もCAPAの対象となる。海外当局の査察での指摘事項書には、指摘事項に対する改善報告とともに、同様な事例が他部署等でも起こりうることがないか予防措置としての対応も求められる。日本国内での査察や監査において、指摘事項の改善状況と同様事象が他部署で見つかった場合、当初の指摘のランクが上位になる。当初、軽度であっても、次回で同様事例を発見した場合、中程度や重度の指摘事項となるのである。是正措置及び予防措置を適切に短期間で行わなければならない。
CAPAを実施するために、変更管理として行う業者も多い。変更管理として行うことがGMP省令で求められていない。ただし、手順の変更や設備の管理を変更処理として行うことがある。しかし、CAPA対応を変更管理として行うことは求められていない。CAPAの実効を再発防止とするために、緊急的に処理する必要がある。変更管理とする場合、無駄な時間がかからないよう処理する必要がある。CAPAを変更管理として行ってはならないとGMP省令は求めていない。ただし、CAPA対応が速やかに実施できるよう、リスクマネジメントとして、再発防止、予防措置が的確に実施しなければならない。
2.逸脱管理
CAPAを実施することがGMP省令1)第15条で逸脱管理として求められている。
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