医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第61回】

CSR,HSE&GMPは製薬企業の三本柱。
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「CSR,HSE&GMPは製薬企業の三本柱」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。
CSRは企業の社会的責任(Cooperate Social Responsibility)でありますが、現在は国際法の適用により又、国内法にも人権尊重・人権侵害の対応のため、自社内及びサプライチェーン従業員の人権Due Diligenceを実施するよう求められています。
HSEは健康安全環境(Health Safety Environment)を安全第一は元より、原薬の曝露リスクアセスメントと化学物質としての表示を国内法により、工場・試験室で使用している化学物質について実施せねばなりません。 人の健康被害という人権問題です。
GMPは(Good Manufacturing Practice)であるが、患者様を守る品質の要件を100%徹底厳守せねばなりません。完全を期すのみならず、世界レベルのGMPが国内外のサプライチェーンにも運用実施されていなければなりません。これは間接的に人権問題に発展するリスクがあります。
これら三本の柱をバランス良く運用してゆく事が最も合理的に製薬企業のビジネスを継続してゆくために必要不可欠です。
下の円グラフはいずれが優先である事無く、三本の柱が同じ大きさでバランスしている姿を図に示したものです。大切なのはCSR,HSE&GMPがバランスしている事です。
上記三者に優先順位をつけることは出来ないが、優先なのは三者同様でバランスした運用が求められます。このバランスが崩れると人権侵害や違法行為そして従業員(サプライチェーンを含む)の健康被害が発生するなど社会的責任に及ぶリスクが大きい事件に発展するリスクがあります。従って、この三者の足並み揃えた活動が求められています。そして、これを自社内のみならずサプライチェーンにもCSRの人権due diligenceやその他のdue diligenceを実施せねばなりません。三者夫々に人権尊重に関する取り組みを進めなければ企業として信頼を失う事態が発生するリスクが大きいです。このリスクを解っていながら、実施方法が解らない等の理由でずるずると後回しにしている企業が少なからず存在している事が筆者のみならず多くの専門家が気にかけているところです。CSRのみならずHSEやGMPのご担当者各位がこの人権問題について関連due diligenceを実施せねば違法行為として扱われる現状がある事を見逃してくれる時代では無くなったのです。この現実が法的要求事項であることを直視せねばならないのです。
2. 国内製薬企業の現状
しかし、日本の多くの製薬企業はグローバルスタンダードの構築が出来ていない事で国外のサプライチェーンへのアプローチがうまく出来ないという課題を抱えている事が解ってきました。
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