ドラッグリポジショニング/リプロファイリング(DR)における知財/特許の課題【第1回】

2015/06/18 その他

稲場 均

はじめに
 創薬の成功確率は極めて低く、医薬品の研究開発には長い時間と多大な費用を要しています。このため、製薬企業においては、新薬の開発速度、効率を上げるとともに、上市した医薬品の薬価を維持し、製品寿命を長く保つためにライフサイクルマネジメント(LCM)を行うことが経営の重要な柱となっています。また、LCMにあたっては、研究開発プロセスにおいて得られた成果としての知的財産、とりわけ特許の活用による事業の優位性確保が欠かせない戦略となっています。一方、最近、既に特定の疾患の治療に使用されている医薬品、あるいは、有効性が知られている薬物などの新たな薬理作用を追究することによって別の医薬品として再開発するドラッグリポジショニング/ドラッグリプロファイリング(以下、DR)への取り組みが、新薬の効率的な開発手段として行われつつあります1,2,3。DRにおいても、特許戦略は、それによって開発された医薬品の事業展開において不可欠であることに違いはありません。しかし、DRによって開発された医薬品は、通常の探索研究によって開発された医薬品の場合とは異なり、既存の特許や技術情報が大きく影響すると考えられます。本稿では、DRによって開発された医薬品の事業化や知的財産戦略(以下、知財戦略)の構築・遂行のツールとなる特許の基本的な特徴や知財戦略上の留意事項についてお話しします。
 なお、製薬産業における知財戦略については、本サイトの「医薬品製造事業関連の知財戦略」(全13回)に掲載されていますのでご参照下さい。

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執筆者について

稲場 均

経歴 千葉大学 医学部付属病院 臨床研究基盤整備推進委員会シーズ評価専門部会委員
持田製薬(株)にて中央研究所副部長、知的財産部長を歴任。千葉大学での特任教授を務め、2009年4月より現職。この間、2010年より日本製薬工業協会知的財産部長。2012年から2015年まで東京医科歯科大学客員教授を兼任。また日本知的財産協会の特許委員長、バイオテクノロジー委員長、常務理事、副理事長を務める。その他、特許庁:微生物寄託検討委員会委員、環境省:生物多様性条約名古屋議定書検討委員会委員、知的財産研究所:用途発明に関する調査研究委員会委員を歴任した。
現在の研究内容は『製薬企業の知財活用、医療分野の実用化促進に資する知財戦略の推進』である。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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