ドラッグリポジショニング/リプロファイリング(DR)における知財/特許の課題【第2回】
3.特許権の対象範囲とDRとの関わり方
特許権は、新しい技術の発明を特許出願して特許を取得した者がその技術を、一定期間、独占的に使用できる権利ですが、特許された技術の内容によって権利の幅(第三者が特許発明を実施した際に権利行使できる対象となる行為の範囲)が異なります。
特許の対象となる発明は、「物」、「方法」および「物を生産する方法」の3種類と規定されており、「物」に関する特許権は、特許された物の製造、販売、使用など、物に係るあらゆる行為が権利の対象とされています(表3を参照)。例えば、化合物Aの特許権者であれば、化合物Aの製造、製品の販売・使用(医薬品に限らず、化合物Aが含まれる製品は全て対象)、製品の宣伝など、化合物Aに関わる全ての行為の実施を独占でき、無断で実施する第三者の行為を差し止めたり、被った損害の賠償を請求することができます。一方、「方法」に関する特許権は、特許された方法の使用に限られます。例えば、化合物Aの安定化方法の特許権者は、特許の対象となっている安定化方法を独占的に使用することができますが、異なる方法で化合物Aを安定化させる行為や同じ方法で化合物A以外の物を安定化させる行為に対して権利行使することはできませんし、特許されている方法によって安定化した製品に対して権利行使することもできません。つまり、「方法」に関する特許権は、「物」に関する特許権に比し、権利の幅が限定的であるともいえます。また、「物を生産する方法」に関する特許権は、特許された生産方法の使用のみでなく、その方法によって生産された物に対しては、「物」の特許権と同じように、販売、使用など、あらゆる実施行為が権利の対象となります。例えば、化合物Aの製法の特許権者は、特許の対象となっている製法の使用、その方法によって製造された化合物Aに係る製品の販売、使用などに対しても権利を主張できます。しかし、特許の対象となっている生産方法に限定されている点で、「物」に関する特許権に比し、限定的であるといえます。
前回にも述べたことですが、DRによって医薬品を再開発しようとする場合、既存医薬品に係る特許が既に存在していることが想定されます。特に、新しい化学物質を医薬品として最初に開発した場合には、有効成分に係る「物」の特許(物質特許)が取得される場合が少なくありません。上述のように、「物」に関する特許権(ここでは、有効成分となっている物質特許としての権利)が最も幅広い権利となり、有効成分となっている化学物質に係るあらゆる実施行為を占有することができるからです。このような医薬を別の医薬品として再開発する場合、再開発医薬品の用途(効能効果など)が既存医薬品の用途とは全く異なるものであったとしても、有効成分である化学物質が同一である限り、既存医薬品の有効成分に係る物質特許の影響を免れません。その物質特許が第三者の権利であれば、特許権のライセンスなど、使用許諾を受ける必要が生じるかもしれません。
このように、特許は、その対象となっている発明の種類によって権利の幅が異なるので、先行する既存医薬品についてどのような特許が存在するか、また、DRによる事業化がどのような影響を被るかを調査しておく必要が生じます。逆に、DRによる再開発に係る技術について特許を取得する場合は、どのような特許を取得するかによって権利の幅が異なり、第三者に与える影響という観点からは、独占権としての特許の強さが異なることになります。
特許権は、新しい技術の発明を特許出願して特許を取得した者がその技術を、一定期間、独占的に使用できる権利ですが、特許された技術の内容によって権利の幅(第三者が特許発明を実施した際に権利行使できる対象となる行為の範囲)が異なります。
特許の対象となる発明は、「物」、「方法」および「物を生産する方法」の3種類と規定されており、「物」に関する特許権は、特許された物の製造、販売、使用など、物に係るあらゆる行為が権利の対象とされています(表3を参照)。例えば、化合物Aの特許権者であれば、化合物Aの製造、製品の販売・使用(医薬品に限らず、化合物Aが含まれる製品は全て対象)、製品の宣伝など、化合物Aに関わる全ての行為の実施を独占でき、無断で実施する第三者の行為を差し止めたり、被った損害の賠償を請求することができます。一方、「方法」に関する特許権は、特許された方法の使用に限られます。例えば、化合物Aの安定化方法の特許権者は、特許の対象となっている安定化方法を独占的に使用することができますが、異なる方法で化合物Aを安定化させる行為や同じ方法で化合物A以外の物を安定化させる行為に対して権利行使することはできませんし、特許されている方法によって安定化した製品に対して権利行使することもできません。つまり、「方法」に関する特許権は、「物」に関する特許権に比し、権利の幅が限定的であるともいえます。また、「物を生産する方法」に関する特許権は、特許された生産方法の使用のみでなく、その方法によって生産された物に対しては、「物」の特許権と同じように、販売、使用など、あらゆる実施行為が権利の対象となります。例えば、化合物Aの製法の特許権者は、特許の対象となっている製法の使用、その方法によって製造された化合物Aに係る製品の販売、使用などに対しても権利を主張できます。しかし、特許の対象となっている生産方法に限定されている点で、「物」に関する特許権に比し、限定的であるといえます。
前回にも述べたことですが、DRによって医薬品を再開発しようとする場合、既存医薬品に係る特許が既に存在していることが想定されます。特に、新しい化学物質を医薬品として最初に開発した場合には、有効成分に係る「物」の特許(物質特許)が取得される場合が少なくありません。上述のように、「物」に関する特許権(ここでは、有効成分となっている物質特許としての権利)が最も幅広い権利となり、有効成分となっている化学物質に係るあらゆる実施行為を占有することができるからです。このような医薬を別の医薬品として再開発する場合、再開発医薬品の用途(効能効果など)が既存医薬品の用途とは全く異なるものであったとしても、有効成分である化学物質が同一である限り、既存医薬品の有効成分に係る物質特許の影響を免れません。その物質特許が第三者の権利であれば、特許権のライセンスなど、使用許諾を受ける必要が生じるかもしれません。
このように、特許は、その対象となっている発明の種類によって権利の幅が異なるので、先行する既存医薬品についてどのような特許が存在するか、また、DRによる事業化がどのような影響を被るかを調査しておく必要が生じます。逆に、DRによる再開発に係る技術について特許を取得する場合は、どのような特許を取得するかによって権利の幅が異なり、第三者に与える影響という観点からは、独占権としての特許の強さが異なることになります。
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