【第8回】私が経験した(GMP)医薬品製造にまつわる話

2024/11/22 製造(GMDP)

机上の空論では、品証の存在価値なし。

人を責めるな、仕組みを責めろ

 トヨタ生産方式(TPS)改善活動の名句に「人を責めるな、仕組みを責めろ」があります。兎角、上司は誰かのせいだと短絡的に問い詰めたり、懲罰するケースをよく見てきました。これでは、人はミスを隠す方になっていきます。それこそ、管理者としては失格です。
 私も若いころ、原料調達や出荷において失敗を起こしました。使用量計算ミスで4 年分の液体原料を買い、その後管理できず廃棄という失敗。また、外国2 か所に送り間違いで返品とか、しばらく陰口を叩かれましたが、私は隠す行為はしませんでした。しかし、そこで仕組みを責める話し合いは全くなく、個人のミスで処理したようです。
 しくみの欠落は、活きたダブルチェック体制が責めるしくみなのは、みなさんわかりますね。
 ある会社の本社品証課長として、工場トラブルの調査にいきました。到着後、会議室に移動し下を向いた若者が数名のメンバーとお待ちでした。よし、なぜなぜ分析をやろう。そこで私は、対象者の若者に「君がそのしくみの不足を見出してくれて“ありがとう”」と笑顔で話しました。ミスはだれでも起こします。大切なのは隠さないことです。若者は、臨時の他部署の応援でした。その後は、笑いながらなぜなぜ分析できたのは当然です。しくみを責めないと他の方で再発します。これが、現場と仲良く仕事をするテクニックです。たまに現場に入り「何しに来たんだ」と思われない。来ないとどうしたと言われるように行動することも品証のポイントであり、そのしくみ(システム)の番人は、品証ですよ。

仕事をすれば、ミスもします

 犬も歩けば棒に当たる。よく評価ポイントを考え、現場仕事を外れて偉くなる世代を横目にした若いころを思い出します。
 そのころは、プロジェクト参加が評価の高い仕事でした。事業所長の評価が隠れていたんでしょうね。
 仕事を頑張ってくれて寡黙に地味に働く者こそ、会社の宝です。そう言う方こそ、次期世代の教育者です。失敗談の数こそ、教育の種。改善の種。人の気持ちを知っている宝です。
 要領よく出世した方が、そのあと部下との関係に困ったのは因果応報ですね。
 人は、失敗から成長していく。失敗で成長をやめれば、それは敗北です。たっぷり時間はあります。楽しく苦しみましょう。よく若い社員に言います。「体も頭も使い、喜怒哀楽しながらお金稼げる」なんて素敵じゃないか!!!「楽しめ」「人生一回限り」

ルールは、持続が大切です

 よく、各所にルールを大きく表示している会社さんを見かけますが、私は、へそ曲がりなので守っていないと予想します。心に届く啓蒙が継続される仕組みがあれば、色あせた表示は必要ありません。思考の共有こそ一番大切で啓蒙(顔を見合わせ)、現場に足を向けていればその組織は、必ず良い職場のために自律神経の如く成長します。
 現場は、手順書に書けないほど多くの事項があります。その都度、表示するのですか?
コミュニケーション醸成(quality cultureの醸成の一手)にて、みんなの心に意識の表示を貼りましょう。
 自社、自事業所、自部署なりの良いところ、悪いところをまず、とことん話し合い共有することが一番先にやることです。特に、経営者は率先行動してほしいと思います。

新人対応を考える

 ピカピカの新人にGMP教育の前にすべきことがあると提言します。それは、設備管理です。使用する設備の取説のトラブルシューティングや日常点検です。できれば、この内容を網羅したSOP がいいですね。私は製造に関しては、設備や原材料をしっかり知って操る(モニタリング)ことこそ大人の仕事と思うんです。
 まず、工具です。傷が発生しない工具を使って欲しいと思います。異物や不適切な動きの原因になります。ですから、モンキーレンチやブライヤーみたいなガタつく工具は避けるべきであり、傷や変形もすぐ新品にしたほうが良いと思います。
 人が機械に歩み寄ると機械の状況がわかるのです。聴音棒と表面温度計持って設備のお医者さんになるTPM の日常点検であり本当に大切なのです。
 実例;ポンプ表面の塗料が変色していた時、PH試験紙(それとシールテープが常備)で検査したら酸性であり、ピンホールの発見でした。当時の工務の方がが「大したもんだ」と褒められました。
 潤滑油も最初、年1 回交換とグリス補給半年1回で。光で劣化測定して適正な時期を設定しました。またVベルトの張りも1cm 以内も新人のときに教えてもらいました。
 エアー圧(元圧6k /設備前4k )も現場調査で大切。圧縮機の能力不足だとふらつきます。ですので、私の教育は最低でも1週間滞在の直接指導と考えています。

 

 

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執筆者について

曽根 孝之

経歴

1980年中外製薬㈱藤枝工場入社し、原薬合成および固形製剤の製造に従事した。その後、倉庫部門では工程責任者、品質保証部門では教育訓練責任者、バリデーション責任者や製剤製法改善、FDA監査の対応を行った。ニプロファーマでは工場の品質保証責任者として、バリデーション責任者、教育訓練責任者、CAPA等を担当、全社QMS策定にも参加した。本社信頼性保証部では経口剤品質保証課長として、供給者監査をリードした。ニプロESファーマではGQPの製造工場責任者や原材料の供給者監査を実施、医薬品物流会社でのGDP対応で推進責任者を担当した。
その他に化粧品会社で、化粧品GMP、健康食品GMPを経験し、医療機器製造管理責任者も務めた。
医薬品製造現場での経験が多く、実践的なコンサルティングを得意としている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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