ドマさんの徒然なるままに【第73話】 お宅にはこんな人いませんか?/こう言っては何ですが、

第73話:お宅にはこんな人いませんか?/こう言っては何ですが、

「こう言っては何ですが、お宅、本気で(or 真剣に)改善しようと思ってる?」と言いたくなることってありませんか? 筆者の場合、セミナー講師などを務めさせていただくことも多く、さらには簡易の(無料の)コンサルテーションといった感じで相談等を受けることも多い。そんな中、受講者や質問者の姿勢に疑問を感じることがある。「さっき話したろー!」と言いたくなるようなおマヌケな質問であったり、「■■のような都合の良い解釈は避けるべきです。」と注意したにも関わらず、「■■ではマズイでしょうか?」といったおバカな質問をしてくる者がいたりするのである。正直に「申し訳ありませんが、先ほどの話、聞き漏らしました。」とか、ウソでも良いから「■■の件、もう一度説明願えませんか?」などと言ってもらえば済むものなのだが、雰囲気的にどうもそうではなさそうなのである。

あくまで想像ですが、お宅の会社内にも、この手の輩がいるんじゃないでしょうか。ということで、久々に「お宅にはこんな人いませんか?」のタイトルを冠した話としてピックアップしてみました。シリーズとしては、2022年7月度掲載の「第43話:お宅にはこんな人いませんか?/上司・管理職編)に続いての第6弾となります*1

必ずしもGMPの世界に限定していません。一般社会に“いがち(ありがち?)”な方々です。ただ、毒気の強い内容ですので、その点はあらかじめご了承ください。
 

● 改善だ、向上だ、と言いつつも、本人として努力も尽力もしようとしない奴
● GMP組織で言えば、Quality Cultureだ何だと掛け声はかけつつも、自分では何もしようとしない上司・管理職

【背景】
もろ“ありがち”な奴で、ほぼ間違いなく、どこの部署や会社にもいます。
医薬品製造所で言えば、その時々の流行り言葉を使って、「うちもやらなきゃダメだよ!」と外面を気にするタイプでもあります。

【問題点】
要は、“口先だけ”ということになります。一般的には、管理職にありがちなため、偉そうに命令口調で言います。それに振り回される部下のことなんか、まるで意識していません。一番の問題は、仕事のお鉢はあなたに回ってきてしまうことです。

【個人的な解釈と意見】
ちょっとでも良いので、ある程度合理的な、期限を含めた具体的、現実的な提案をしてくれれば良いのですが、元々が口先だけなので期待しても無駄ですよねー。相手せずにほおっておきたいところですが、管理職や上司であれば、無視も出来ず、我慢するしかないでしょうね。別の部署へ異動して貰いたいものですが、それも無理でしょうから、自分で異動を考えましょう。ただ、どこにでもいるほど繁殖しやすいと言うか、絶滅しがたいので、異動どころか転職さえしても、“またいる”と思っていたほうが無難かもしれません。
 

● 如何に手を抜くか、楽をするかしか考えていない奴
● GMPで言えば、如何に金をかけずに済むかしか考えていない会社(製造所)、一方で、その分についてマンパワーでカバーしようとする気もない会社(製造所)

【背景】
表立っては言いませんが、現実には結構多いというのが現実でしょうか。

【問題点】
説明不要でしょう。問題は、その手の抜き方や状態の酷さと言えます。手を抜いた分の仕事は、確実にあなたに回って来ます。ただ、本人は手を抜いている感覚も無ければ、まして他者に迷惑をかけてしまっているなんてことを微塵も感じてはいませんので、陳謝も謝罪も期待は無理です。
そもそも、俗に言う「機械化」だとか「自動化」は、人件費を少しでも浮かすことが本来の目的です。逆に言えば、人員そのままに「機械化」、「自動化」を図るなんてこと、ビジネス的にはほぼ在り得ません。設備投資に金を注ぎ込むか否かは当該社(製造所)の判断ですが、(人員削減も含めて)金をかけずに向上を図りたいのであれば、その分手間は増えると思うのが通常なのではないでしょうか。それも理解できない(or 悪意ある)上級管理職のいる会社(製造所)が回収騒動や品質問題を引き起こすんじゃないでしょうかね。

【個人的な解釈と意見】
相手が個人であって上司でもなければ、付き合いをやめましょう。この手の輩、変にプライベートにも入ってきますので、公私ともども付き合いを避けましょう。筆者として唯一のサジェスションは、この手の輩、口は上手いので、変におだてられて口車に乗らないようにしましょう。
会社や組織の場合、常識的に考えれば分かるはずです。金も人手もかけずに品質の向上が図れる、なんてことはまず在り得ません。都合の良いプラス面だけを考え、マイナス面を無視なんて、そんな甘い話があるわけないじゃないですか。「うちは、そんな甘い期待で動いている」ってか。そんな甘い期待をする会社(製造所)って意外と多いんですよね。うーん、申し訳ありませんが、諦めてください。転職するかどうかは、自己責任でお願いします。
 

● 外面的には格好の良いことを言うが、実態としての中身はカラッポの会社(製造所)、また中身のアップにリソースをかけようともしない会社(製造所)

【背景】
前項の会社(製造所)とほぼ同じタイプです。ちょっとの違いは、自社(自製造所)はマトモだと思っており、プライドが高い会社(製造所)だということくらいでしょうか。地方に本拠地を置く、地方の優良企業として多額の法人税を納めていたりする会社さんに多いように思います。

【問題点】
「良きに計らえ!」といった、殿様風の言葉は受けるが、実際には何もして貰えないと思っていいんじゃないでしょうか。上手くいった場合は良いですが(手柄は誰かに奪い取られますけど)、失敗でもしようものならば、全責任を負わされるのは確実です。要は、すべてが結果論で決まると言っても過言ではないでしょう。改善であれ何であれ、何か事を起こせば、そこには程度の差こそあれ必ずリスクが伴います。そのリスクを考慮せずに結果論で言われた日にゃ、たまったもんじゃないですよ。

【個人的な解釈と意見】
何だかんだ言って、現在でもこんな感じの会社(製造所)が少なからず存在しているんじゃないかと懸念しています。一時期よりは大分減りましたが、ジェネリック医薬品の自主回収もいまだに結構ありますよね。以前の話にも書きましたが、プロセスバリデーションの中身と申請用安定性試験(加速試験のみ)の在り方に疑問を感じています。安定性モニタリングがその実態を示しているようにしか思えないんですが・・・。
 

● 「それっ、他社はもやってるの?」とか「それっ、他社はどうなってるの?」と他社動向ばかり気にする奴
● 時期尚早をしょっちゅう言う奴

【背景】
自社の推進方向を示すことなく、他社動向を気にする奴にマトモな奴を見たことがありません。ハッキリ言って、「第43話:お宅にはこんな人いませんか?/上司・管理職編」内に挙げた「「前例が無いからねー」と言ってリスクを取ろうともせず、責任逃れをする奴」と同じ部類で、その言い訳(言いぐさ)は、「時期尚早」が決まり文句と言えます。

【問題点】
他社に合せることが自社にとって良いことだとは限りません。あくまで他社は他社、自社は自社としての違いがあります。その差を見据えて自社のベストウェイを示すことが、上司・管理職の役目のはずなのですが、ここに挙げた輩にとっては、リスクを取って失敗した際の言い訳が通るかどうかが判断基準なので、期待するだけ無駄だと思います。

【個人的な解釈と意見】
「他社動向≠情報収集」です。情報収集の一環として他社動向を気にするのであれば、続いて「うちは●●だから、■■でやってみようか!?」として、自社の推進方向を必ず示すはずです。心の中で「チャレンジ精神も意欲も無い、さらに語彙の少ない、表現力さえも無い無能な奴」として相手しましょう。上司である場合は、“I’m sorry.(お気の毒に)”という言葉をあなたにプレゼントします。
 

● 「大事なのは結果じゃなく、プロセスなんだよ!」と口癖のように言う奴

【背景】
この言葉、シチュエーション的に上司が部下を叱責する際に吐く言葉かと思いますが、残念なことに結構多いのが実情でしょうか。

【問題点】
これを言い出す奴、言葉とは裏腹に、ほぼ100%結果でしか判断していません。

【個人的な解釈と意見】
よーく考えてみてください。もしプロセス重視で見ていたのであれば、変な方向に行きそう or 悪い結果になりそう、なタイミングでサジェスションなり、アドバイスするんじゃないでしょうか。結果を見てから、「ああだ、こうだ」は誰でも言えますよ。これを言い出す奴、こう言っては何ですが、ほぼ無能としか言いようがありません。期待するのをやめましょう。
 

● 省令や通知、ガイドライン等を繋ぎ合わせて都合よく解釈する奴
● 「●●だから」とか「●●なのに」と言い訳ばかりする奴

【背景】
筆者が講師を務めた際の質問や相談で、この手の省令や通知、ガイドライン等を繋ぎ合わせて都合よく解釈する方々を見かけます。「第43話:お宅にはこんな人いませんか?/上司・管理職編」の中の「こちらが言い出す前に言い訳をしだす奴」に近いタイプですが、何かと「だから」とか「なのに」として、自己都合で手抜きをしたがる奴のことです。
正直に言います。「問題な会社や奴って、本話を読んでいないであろうし、もし読んでくれていたとしても、コレッて自分の会社や自分のことじゃないと思い込んでいるに違いない。」ということで本項を書いています、悪しからず。

【問題点】
問題の多い会社や奴ほど、この手の自己都合な解釈をしがちです(実際しています)。本人は、「だから」とか「なのに」というのを簡略や省略といった制限についての正当(妥当)な理由と思い込んでいると推測しますが、世の中、そんなに甘くないですよ。

【個人的な解釈と意見】
コンサルタント(筆者本人はその端くれのつもりです)として質問や相談を受けますが、その内容から質問者(質問社)の状況の察しがつきます。この手の自己都合による解釈、治験薬関係者に多いのですが、ほぼ100%、手抜きの言い訳です。経験的に正当 or 妥当な理由であったことはありませんでした。正直に言いますが、コレをはなから言ってくる会社や製造所(製造施設)は「ダメだ、こりゃ!?」と思っています。そして、その多くは、Quality CultureやPQSといった漠然としたことの改善(具体策)を聞きたがります。要は、問題点が絞り切れていないという自己現状を把握できておらず、一方で、一気にHow toを聞いてマネしようとすること自体が問題なんだということに気づいていないと言えます。
例えばとして具体例を挙げれば、逸脱が発生したものの、その根本原因も究明せず、当該製品の品質試験が適合であれば、SOPに則って「対応済み」として逸脱報告書を書くようなものと言えます。
この手の行為、やっていることは「YouTubeの切り抜き」と同じですが、元が法規制だということを一度考えて貰いたいものです。


どうでしたか? 読者の皆さんの会社にいないことを祈って書きましたが、現実にはどれかの項目に当てはまってしまう者がおられるんじゃないでしょうか。「複数の項目に当てはまる者がいます。」、「ほぼすべての項目に当てはまる者がいます。」ってか!? うーん、申し訳ありませんが、お気の毒様としか言いようがありません。


では、また。See you next time on the WEB.



【徒然後記】
続・天国の妻へ
お前に手紙を書いてから、既に4年が経ってしまったね(最初の手紙は第18話の徒然後記)。今月はお前の命日だね。そう、11月3日だ。世間では「文化の日」と称した祝日だけど、俺にとってはもっと大事なお前の命日さ。しかも10年目だよ。
お前がそっちに行ってしまってから、お前の凄さに気づいたよ。掃除・洗濯・炊事といった家事に加え、薬剤師ということで調剤薬局に勤めていたね。現在の俺、家事もいい加減だし、自分のことさえマトモに出来ていない上に、仕事もフルタイムでなくなった。当時のお前の半分にも満たないね、恥ずかしいよ。
お前も知らない孫三人を加え、総勢七人の孫、みんなすくすくと育っているよ。天国から見えてるかい? みんな良い子だぞ。今年で全員小学校にご入学、しかも初孫は、来年高校入試を控えている。時の過ぎるのは早いよね。
現在の俺の生活、お前が夢見ていた老後の生活なんじゃないのか? 順番間違ったけど、代わりに俺に託したんだろうな、そう思えるよ。実家にお里帰りして産んだ、お前が特に可愛がった孫には『ジイジが死んだら、「やっとバアバに会えたね、良かったね」とお祝いしてくれ』と伝えておいたよ。来年は古希になる。もうすぐ会えるんじゃないかと思っている。
またな!

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