GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第81回】

データ改ざん

1.性能試験
 自動車メーカーの性能試験で不正があったことが報道された。国土交通省は現在生産する車種で不正が確認されたトヨタ自動車やマツダ、ヤマハ発動機の3社に対し、出荷の一部停止を指示した。

(NHK NEWS)2024年6月3日 19時58分 
自動車メーカーなど5社 “性能試験で不正” 出荷一部停止へ
自動車やエンジンの大量生産に必要な型式指定の取得で、ダイハツ工業などによる不正行為が相次いだことを受け、国土交通省が同じようなケースがないか各社に調査を指示したのに対し、自動車メーカーなど5社が車の性能試験で不正があったと報告したことがわかりました。


  日本の大手自動車メーカーとして、求められている性能試験での不正である。データ改ざんともいえる。データを改ざんしたわけではないが、定められた方法と異なる試験方法で試験していた。不十分な性能試験方法で行い、試験時間や人員を縮小することで、納品までの時間や経費を縮小し、企業の利益を得ようとした結果である。企業として、行ったわけではないようだが、現場作業者のミスではない。企業として、その性能試験を担保できる体制を構築しなければならない。ダイハツ工業などによる不正行為が相次ぎ、国土交通省が同様な事例がないか自動車メーカーに調査を指示したことで、発覚した。国の指示がなければ、他社の事例と同様な事象がないか確認をしなかったメーカーに関して、信頼性を失ったといえる。少なくとも、他社で発生した事例と同様な事象がないか、国からの指示前に調査を開始する必要があった。
 不正性能試験により、品質が悪化し、事故を招いた事例がなかったのだろうか。自動車を利用するのは、個人だけではない。個人としては、通勤に利用することも多い。買い物などでの利用も多い。観光として、旅行時の利用も多いだろう。企業の業務としての利用も多い。営業として顧客に訪問することや製品の運搬等自動車の利用することは多い。自動車の利用の頻度、走行距離も様々であろう。自動車の性能を利用状況に合わせるのは難しい。そのため、自動車の利用として、最大限に性能を設定し、事故や故障を招かないように維持管理として確認しなければならない。自動車の事故や故障を「0」にすることは困難である。飲酒運転や居眠り運転など、運転者として不正な行為、不健康な体調から発生する事故の防止が望まれる。それは、自動車の走行から、周辺の歩行者やその他の走行の自動車を巻き込み、危害が発生することが絶えないからである。多発する事故を防止できる機能も現在、社会から求められている。
 自動車に対する機能は、時代とともに変化し、向上している。ガソリン車から電気自動車へと燃料面だけでなく、自動車機能安全規格として、ISO26262で求められている。日本国内だけでなく、世界に通用する安全性として、性能規格について、更なる工場が必要となっている。世界との交流が進む中、世界に通用する性能規格を設定し、その維持管理として、性能試験の適格的運用しなければならない。その運用が適切に行われた証拠として、記録を適正に残し、保全しなければならない。定められた手順通りに運用された証明書として、その記録が重要なものとなることを認識しなければならない。

 

 

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