基礎からのGPSP【第18回】

 

~製造販売後データベース調査の実施②~

3.実施体制の構築
製造販売後データベース調査は、必要なデータベースの選定手法、データバリデーション、解析手法の選択等を含めた計画書の作成等々、専門性の高い領域の業務が要求されていることから、実施体制の構築に際しては、管理部門から製造販売業者に当該調査の必要性や、関連部門への協力指示の発出を述べなければならない。そして体制構築までに若干の時間を要することを考慮し、管理責任者は事前の対応を意識しなければならない。
3.1 実施部門の選定
実施部門の選定に際しては、社内体制(状況)、製造販売後の販売体制により以下の体制をとることとなる。
(1)  社内統計解析部門への実施依頼
承認申請時のRMP案作製段階での検討等が効率的であるために極力、開発関連部門(統計解析部門を含む)を含め、実施を依頼することが望まれる。なお、この場合、管理責任者から開発関連部門を実施部門として「実施依頼書」を的確に依頼することに留意すること。
(2)  社外への実施依頼
自社内での実施が不可能な場合は、社外へ依頼せざるをえない。しかしながら、この場合であっても準備段階での検討は自社内のGPSP体制、手順書等に従い、実施の段階のみ依頼となる。
1)  他製造販売会社等への依頼
販売委託や共同プロモーション等を実施している場合、依頼することも考えられるが、GPSP手順等の調整に注意を要するなど体制調整が煩雑となるため、むしろCROに依頼したほうが円滑な実施が予想される。
2)  CRO(データベース事業者を含む)への依頼
適切なCROに調査の実施を依頼し、必要とされる手順書等の調整、進捗管理等の報告方法の取決めを行う。
3.2 依頼・契約
製造販売後データベース調査の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、委託先が当該業務について適正かつ円滑に実施することができるか事前に確認し、契約を締結しなければならない。
契約書には、委託業務の範囲、手順に関する事項、業務内容を確認することができる旨、報告に関する事項等必要事項が取り決められている必要がある。(安全管理業務、調査・試験等の依受託の章参照)
 
4.実施管理 
調査の実施方法により、その管理方法は多岐にわたり様々な形態が考えられるが、基本は製造販売後の安全対策として必要な確認、検討すべき情報の明確化、必要な情報に応じた医療データベース事業者の選択、適切な製造販売後データベース調査実施計画書、統計解析計画書、そして解析結果の評価と安全確保措置の立案にいたる業務手順の状況が必要に応じ管理部門に速やかに報告されることにある。
製造販売後データベース調査を実施することを決定した以降は、全業務の手順はGPSP遵守により適正かつ円滑に実施されなければならない。
4.1  調査の準備に関する段階
当該調査の目的並びに内容の妥当性を支持できるだけの安全性、有効性及び品質に関する情報が承認時及びその後の知見等から得られていること、当該調査の倫理的、科学的妥当性及び情報の保護が裏付けられていることを保証する必要がある。 
(1)  手順書の作成(通常、作成済)
調査の依頼(又は準備)及び管理に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めた文書(手順書)を作成
※調査実施計画書の作成、医療情報データベース及びデータベース業者の選定、データバリデーション、統計解析計画書、記録の保存、その他
(2)  調査に関わる資料作成
※調査実施計画書、統計解析計画書、解析用データセット、調査結果報告書を作成
(3)  当該受託者との契約
(4)  データベース事業者との間にデータベース使用の契約締結
(5)  その他の必要な措置

 

 

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