厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」の要点(20)【最終回】

2013/11/11 施設・設備・エンジニアリング

「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)」についての解説(2)
 
(前号より)
問34
脱イオン水、蒸留水などの各種製造用水の製造管理に使用されているコンピュータ化システムについては、どのカテゴリが適用されるか。
 
回答34
市販のシステムをそのまま設置し、単体で利用する場合には一般的にカテゴリ3に該当する。また、使用目的が限定されており、温度、圧力、導電率等、数種のパラメータのみで制御している場合であって、供給者で機能の検証がされている場合には設備の適格性の確認に含めて実施することで差し支えない。ただし、供給者においてシステムが適切に検証されていることを示すことができるようにしておくことが必要である。
 
解説
 本Q&A は、対象となる設備が「脱イオン水、蒸留水などの各種製造用水の製造管理に使用されているコンピュータ化システム」となっているが、この部分はどのような設備や機器あるいはシステムでも構わない。重要なことは標準品(カテゴリ3)である設備や機器に内蔵されたり付属されているコンピュータ化システムは、コンピュータシステムとしてのバリデーションは不要であり、設備の適格性の確認に含めて実施することで差し支えないとしている点である。つまり設備としてのバリデーションはGMP 等で元々求められているため、言い換えれば特別なCSV の取り組みは不要となる。しかし、本ガイドラインは規制当局が規制対象企業である製薬企業に向けたものである。製薬企業においては確かに上記の取り組みで差し支えない。本Q&A の最も重要な点は「ただし」書き部分である。 「供給者においてシステムが適切に検証されていることを示すことができるようにしておくことが必要である。」ということは、供給者(サプライヤ)はどのようなカテゴリであろうが、システムや設備を初めに開発する場合は、開発計画を立て、設計ドキュメントを作成し、ハードウエアやソフトウエアの開発を行い、いろいろなテストも実施している。この時に実施したエビデンスをユーザの要求でいつでも提示できるようにすることを求めている。つまり、本Q&A では、サプライヤにおいてはカテゴリに拘らずどの様なシステムや設備であってもはじめに開発した時にはCSV を実施し、要求があればいつでもその文書を提示できなければならない

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執筆者について

荻原 健一

経歴 株式会社シ―・キャスト 代表取締役社長。
1975年(株)横河電機製作所入社。
分散型制御システム(DCS)の開発/ マーケティング担当。その後、石油・化学のSEを経て、医薬品向けシステムエンジニア。「全社Part11プロジェクトリーダ」、医薬システムコンサルティング部長 等。
2006年から(株)野村総合研究所 ヘルスケア事業戦略研究室。上席コンサルタント 等。NRI認定ビジネスアナリスト。
2011年7月より現職 。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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