厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」の要点(15)

2013/06/17 施設・設備・エンジニアリング

4.新ガイドラインとその解説(第14回の続き)
 新ガイドラインにおける重要な項目について以下に説明を加えた。より詳細な解説については日薬連から発行される解説書を参照して頂きたい。
 
6. 運用管理業務
6.6 変更の管理
運用責任者は、あらかじめ指定した者に対し、運用管理基準書に基づき、次に掲げる業務を行わせること。
(1) 変更がコンピュータ化システムに与える影響を評価し、評価の結果に基づき適切な措置を実施すること。なお評価の結果、バリデーションが必要と判断された場合は、リスクの程度に応じて「4. 開発業務」及び「5. 検証業務」に戻ってバリデーションを実施すること。
(2) 変更に伴い発生する手順に関する文書の変更箇所を特定し、必要な改定を実施すること。
(3) 変更内容の関係者への周知の方法を決定し、必要に応じて教育訓練を実施すること。
(4) 変更の管理の記録を作成し、運用責任者の確認を得るとともに、運用責任者及び変更の管理に関する責任者等の承認を得てこれを保管すること。
GMP省令に係るシステムに関する変更の管理については、GMP省令における変更の管理の手順に従って運用すること。ただし、その場合も上記(1)から(4)の内容を含むこと。
 
 変更管理は運用管理業務の中でも最も重要な取り組みである。コンピュータ化システムは一度構築すれば廃棄するまでプログラムに変更を加えることなく、そのまま使用し続けることができるシステムもある。しかし、多くのシステムはさまざまな理由で何らかの変更を加えることになる。例えば新しい品目が追加されたり運用が変更されたりする。その度にプログラムが追加・修正されることになるが、重要なことは変更された後の再バリデーションである。バリデーションされた状態を変更することにより一度崩すことになるが、変更後の再バリデーションにより再びバリデーションした状態に復帰させることが重要である。
 変更管理の取り組みは、各々の企業によるCSV管理規定で多少異なるが、通常は「変更申請書」を作成することから始まる。変更を希望する担当者によって変更申請書が作成される。変更申請書は定められたルールに従って受け付けられ、変更内容が評価され、最終的にはしかるべき人により承認されることになる。申請内容が不明瞭であったり、説明が不十分な場合は却下されることもある。このため変更申請書は可能な限り、変更の必要性を明確にすることが重要である。評価する人や承認者が判断可能な内容でなければ正しい結論とならない。また、変更時期についても許容可能な期限などを記載すると良い。他の人からも変更申請が出ているような場合は、評価者や承認者はこれらの複数の変更時期を調整することによって、まとめて一度に行うことが可能となる場合もあり合理的な取り組みが可能となる。

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執筆者について

荻原 健一

経歴 株式会社シ―・キャスト 代表取締役社長。
1975年(株)横河電機製作所入社。
分散型制御システム(DCS)の開発/ マーケティング担当。その後、石油・化学のSEを経て、医薬品向けシステムエンジニア。「全社Part11プロジェクトリーダ」、医薬システムコンサルティング部長 等。
2006年から(株)野村総合研究所 ヘルスケア事業戦略研究室。上席コンサルタント 等。NRI認定ビジネスアナリスト。
2011年7月より現職 。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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