再生医療系若手技術者のための製造文書作成術【第2回】

 本稿は、これから再生医療に関わる若手技術者の方に向けた、製造文書を書くための具体的・実践的なTipsになっています。初心者の方は勿論ですが、今現在作成に携わっておられる若手の方なら、最後のポイントをチェックしてみるだけでも役に立つように心がけました。
 第2回となる今回は、SOPを使いやすくする具体的なポイントを2点、お伝えします。

【まずはおさらいとSOPの『機能』について】
 最初に、前回のおさらいをさらっと踏まえておきます。
 前回は、SOPを書く前に「これから『誰』に『なに』を伝えるための文書を作るのか、明確に設定しておく」といった前提の話をしました。文書は、相手になにかを伝えるために作るもの。だからこそ、伝わらないと意味がありません。
 と、いうところで、では翻ってそもそもSOPとはどういう文書であるべきなのでしょうか? SOPは製造工程において大変重要な文書ですが、それはこの文書が「製造時の逸脱」を決めてしまうものだからです。逆に言えば、逸脱を決められないSOPは、SOPとは言えません。
 例をあげましょう。「秤量した○gのアスコルビン酸を○mLの緩衝液により次の手順で融解する」という作業があったとします。おそらくここで、○の箇所に適当な数字を入れる方はいないと思います。有効桁数も定めて、適切なアスコルビン酸溶液ができあがるように、明確な値を記載するでしょう。だから、作業時にもしこの数字を読み間違えた作業者がいて、濃度が倍の溶液ができあがったら、それは逸脱です。これははっきりしています。
 では「継代作業後は、およそ70%程度のサブコンフルエントが認められたら、次の継代を行う」は、どうでしょうか。よくある設定ですが、これはコンフルエンシーが80%に至ったらダメなのでしょうか。60%ではどうでしょう? そしてそもそもこの作業、タイムラプスのようなリアルタイムのイメージモニタリングを介していたとしても、培養の作業可能な時間帯に「およそ70%」になってくれるのでしょうか? 50%くらいだと判断した翌日、いきなり90%に至ったりはしないでしょうか?

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