試験室管理について【第1回】

初めに
 QC部門が、医薬品のライフサイクルを通して、信頼性のある客観的なデータを会社若しくは社会に提供していく為に必要なものとして、「試験室管理」があります。
 「試験室管理」という言葉は、医薬品製造業者には縁が薄くあまり知られておりませんが、原薬製造業者にとってはなじみの深い言葉になっています。
 それは、「試験室管理」という言葉が、医薬品GMPには収載されておらず、原薬GMPガイドラインに収載されていることに由来すると思われます。
 では、医薬品GMPに従い管理されている製造所においては、本当に「試験室管理」は関係がないのでしょうか?
 本題に入る前に、医薬品を扱っているQC部門の皆様における日常の業務状態を少しだけ垣間見てみましょう。
 QC部門の皆様は、日々、忙しく試験検査業務に追われ「試験指図に従い試験を行い、ひたすら試験結果を報告する。」という状態に陥っている方も多いのではないのでしょうか。
 さて、このように試験結果だけ報告すれば良い状態は、「試験室管理」がされている状態と言って良いでしょうか?
 その試験業務を、“分析バリデートされた試験方法を使用していない。” “試験器具には検体№が付番されてない。” “試液の使用期限が記載されていない。” “試験機器は点検がされているかどうか判らない。” “試験記録用紙がなく試験は終わっているのに記録されていない。”等々と言った状態で実施しているのであれば、「試験室管理はされていない状態」と判断されてしまいます。しかし、その試験業務を、信頼される試験結果であることを保証する為の“適切な試験手順” “適切な試験検体管理” “管理された適切な試験機器” “適切な試験器具” “適切な試薬・試液管理” “適切な標準品管理” “適切な記録管理”等々の背景が整った上で実施したものであれば、医薬品を扱っているQC部門の皆様は、自然と「試験室管理された状態」で業務を遂行していると言えるのです。
 ですから、「試験室管理」は、医薬品GMPに記載されていなくとも実施していることになります。
 このように、「試験室管理」とは、『管理職による「職員が適切な管理状態で試験を実施しうる背景(ルール)作り」と「試験の結果を適正に判断する能力の確保」』及び『職員による「ルールに従い着実に業務を実施する能力」と「不具合を発見できる能力の確保」』の両輪が互いに相まって初めて出来るものです。
 今後、この「適切な・・・」については、時にはワ―ニングレターの事例等を参考にしながら、より具体的に紹介をしていく予定です。

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