エッセイ:エイジング話【第73回】

103の壁
103の壁
103の壁が話題になりました。この3桁の数字を超えぬように労働時間を押さえることが、働く側・雇用側の両者でこれまで配慮されたことを知りました。
この自粛現象は103万円迄の給与所得者に対し、所帯主の扶養者控除対象とする税制に基づきます。ちなみに、103は48 + 55から成り、所得税の控除金額は基礎控除額48万円と給与所得控除額55万円から構成される税制に依ります。
つまり、給与所得額は103万円迄であれば所得税を支払う義務がありません。給与所得者以外の人へは、基礎控除額48万円に合わせ、必要経費分が収入から差し引かれる税制が在り、給与所得控除55万円は給与を得るための必要な衣服靴などの経費相当分との説明もあり納得しました。
ただ、103万の給与を得るのに55万円の必要経費は一見多い額のようにも感じます。この103の壁は、与党と野党間で調整が続きますが、20増額して123にする案や150まで増額する案が小出しにされ、要求だった173迄は届かず決着の見通しは未だ立ちません。
さて、ここまで所得税控除制度が世間一般の話題と成ったのは、この103の壁撤廃を選挙公約に掲げた政党が、人手不足が切迫する非正規雇用者の就業時間の象徴的な数字の壁とし、これをマスメディアが頻繁に取り上げたからと感じます。
そもそも、所得金額に見合う税を払う方が公平だと素人目に感じますが、こと税制に係る意見へ深入りせずこの辺りにします。
ところで、3桁数字は人を説得する時に様々な分野で使われます。90パーセントと2桁数字で言うよりも99.9パーセントと3桁数字で言う方が信頼度が増すからです。と言うか、3桁数字はもうパーフェクトと捉えます。逆から見ると、0.1パーセントの逸脱は無視しても差し障りがない範囲だと社会では暗黙の了解があるように感じます。
また、元来%は百分率なので、0.1%の逸脱は0.1×1/100=0.001=千分の一ですから4桁目の数字に拘ることに成ります。人の寿命も百歳時代到来と言いますが、4桁を到越える人は0.1%に満たない人数です。
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