【第1回】今、求められるQA部門の体制の構築について
田中良一です。もしかしたら名前を知っていただいている方もおられるかもしれません。
私は、今年の6月末まで京都府庁にて約18年間、公務員をしていました。
そのうち、11年間はGMPなど薬事行政を担当しており、2018年4月からの2年間は厚生労働省に出向し、今の医薬局監視指導・麻薬対策課にてGMP指導官として薬機法やGMP省令や医療機器等のQMS省令の改正業務などに従事していました。
多くの地方自治体では人事異動により、いろいろな部署に配置されますが京都府でも同様であり、今年の4月からは異動により保健所で飲食店などの許認可業務に従事しており、GMPからは離れることとなってしまいました。予想はしていたことであり、GMPなどの仕事が出来るのは数年後、長いと10年以上後になると思った時、私はまだまだGMPなどの仕事を通じて企業の皆さまをサポートしたい、医薬品や医療機器などを使われる日本の皆さん、世界の皆さんに役立つ仕事がしたいと思い、外に飛び立つ決意をし、今は株式会社シーエムプラスでGMPやQMSなどのコンサルティングやセミナー講演をさせていただいております。この記事が皆さまのお役に立てば幸いです。
1.改正GMP省令によって変わったこと
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令、いわゆるGMP省令が改正されて約3年が経過している。
GMP省令というレギュレーションが改正された背景は、国際整合化、特にPIC/S GMP基準とのギャップを埋めるためであった。
また、その改正の直前に大きな不正事案やGMP省令の母体である薬機法において法令遵守体制の整備に関する内容が追加されたことも踏まえて、その要素がGMP省令にも反映されている。
GMP省令第 3条の3 医薬品品質システム
GMP省令第 3条の4 品質リスクマネジメント
GMP省令第11条の2 安定性モニタリング
GMP省令第11条の3 製品品質の照査
GMP省令第11条の4 原料等の供給者の管理
GMP省令第11条の5 外部委託業者の管理
表1 改正GMP省令(令和3年8月施行)に新たに追加された条項
この要求事項の追加に対して品質保証部門いわゆるQA部門がどのように関係しているか解説させていただく。
1.1承認事項の遵守(GMP省令第3条の2)
まず、承認事項の遵守ではQA部門がどのように関与しているかというと表2のとおりGMP省令第5条に記載がされている。
承認事項の遵守の最終責任はもちろん責任役員にあるものの、実務においては、製造管理者がQA部門に管理させることとされているものである。
GMP省令改正以前でも、製造所において承認事項の遵守した製造管理及び品質管理をしなければならなかったが改正GMP省令では、特にQA部門が実務として主体的に承認事項を遵守した製造等を管理していかなければならないと明示されている。
そのためQA部門を中心に、承認書と相違が生じないような対策も当然、考えていかなければならないし、日々の製造における記録や逸脱・変更によって生じる又は生じた差分が承認事項に影響がないか常に管理しなければならないし、現場の巡回や自己点検などにおいて承認事項の遵守がされているかなども必要に応じて確認していかなければならない。
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