ラボにおけるERESとCSV【第119回】
FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(89)
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
■ UUUU社 2023/5/24
施設:製剤工場(無菌)
■ Observation 4
開発およびPPQのバッチに対する合否テストおよび安定性試験における不純物テストにおいて2022/6~2022/7の間に棄却されたテスト結果がいくつか調査され、棄却されたテストはHPLCの圧力異常に起因するものであったとされた。最後に棄却されたテスト結果の調査報告においてCAPAは不要であると結論された。調査は2022/10に終了したが、その時点において問題は再発していないからこの件は解決済みであると記載されている。貴社とのディスカッションにより、HPLCの改善を行ったが変更管理の下でなされたものではなかったことが判明した。
★解説:
HPLCに圧力異常があり2022/6~2022/7の間にいくつかのテストが棄却された。最後に棄却されたテストの調査が2022/10に終了したが、その時点において問題は再発しておらず解決済みであり、CAPA不要と結論された。査察官とのディスカッションにおいて、問題は自然解消したのではなく、HPLCの改善により問題が解消したことが判明した。しかし、その改善は変更管理下においてなされていなかったため指摘された。
指摘事項においてPPQに言及されている。PPQはFDAの用語であり、いわゆるPV(Process Validation)と同じであると筆者は理解している。FDAガイダンスにおけるPPQの定義を以下に紹介する。
The process performance qualification (PPQ) is the second element of Stage 2, process qualification. The PPQ combines the actual facility, utilities, equipment (each now qualified), and the trained personnel with the commercial manufacturing process, control procedures, and components to produce commercial batches. A successful PPQ will confirm the process design and demonstrate that the commercial manufacturing process performs as expected.
FDA, 2011/1
Process Validation: The documented evidence that the process, operated within established parameters, can perform effectively and reproducibly to produce a medicinal product meeting its predetermined specifications and quality attributes.
プロセスバリデーション: 工程が、確立されたパラメータの範囲内で、予め定められた規格と品質特性に適合した医薬品を製造するために、効果的かつ再現性を持って稼働し得ることを示す文書化されたエビデンス。
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