後悔しない設備投資のための経済性評価【第4回・最終回】

2016/02/12 施設・設備・エンジニアリング

1. はじめに
 今回は、経済性評価の事例として、省エネ設備導入プロジェクトにおける評価事例を紹介する。
 ここであげる事例では、既設の事業所において、エネルギー費用を節約する省エネ設備の改造を検討する。例えば石油精製工場では、多数の熱交換器を組み合わせた熱交換器網により高温流体と低高流体の熱量を効率的に交換することで、エネルギーを有効に活用している。しかし、初期の設計条件と数年後の運用状況の違い、あるいは、設備劣化、技術の陳腐化が生じ、既存の熱交換器網を改造する事により熱エネルギーのロスの削減が期待出来ることがしばしば生じる。
 通常、導入可能な省エネ設備にはいくつかの代替案がある。例えば熱交換器網の場合、現在の設備より熱交換を効率的に行い、燃料消費量を削減するケース、熱交換を効率的に行い、現在より多くの蒸気を発生させるケースなどである。
 これらの代替ケースの比較検討として、以下では、投資回収期間、純現在価値、そして内部収益率による評価を行う。

2. ケース設定と前提条件
 本事例では、次ぎの3ケースを設定する。
  
① ケース1: 消費燃料を最小化するケース
    
・設備投資額:1億円
    
・省エネ額:0.25億円/年
  
② ケース2: 蒸気の発生量を増加させ蒸気購入量を削減するケース
    
・投資額:2.5億円
    
・省エネ額:0.45億円/年
  
④ ケース3: 使用燃料を削減しつつ蒸気の発生量を増加させ蒸気購入量を
          削減するケース
    
・投資額:4億円
    
・省エネ額:0.7億円/年

前提条件
 各ケースの経済性評価の前提として、以下の項目を設定する。
    ・評価期間:10年
    ・割引率:5、10、15(%/年)

 長期にわたるプロジェクトの経済性評価においては、設備寿命から数十年の期間で評価を行うが、既存設備の省エネ投資の場合、エネルギー価格の変動が大きいことから、10年程度の期間が適切と考えられる。また割引率は、各企業における資本の機会費用に投資リスクを加味して算出すべきものである。今回の事例においては、5%から15%とする。
 通常、経済性評価では、キャッシュインとキャッシュアウトからキャッシュフローを導くが、本事例は省エネ投資であるため、キャッシュインとしての売上などが存在しない。そのため、現状と比較した場合の支出額の減少をキャッシュインと考え、初期投資額と省エネによる10年間にわたる費用削減額(省エネ額)を基にキャッシュフローを導くものとする。なお石油精製工場の場合、省エネ額は、燃料単価、燃料熱量、蒸気単価、蒸気熱量、稼動時間などから、金額の見積りをすることになる。今回の例では、これらを算出した後にサマリーした金額を、省エネ額に用いる。

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執筆者について

石井 信明

経歴 文教大学 情報学部 教授。
1959年神奈川県横浜市に生まれる。1984年東京工業大学大学院(経営工学専攻)修了後、日揮株式会社入社。システムエンジニアリング部門にて、主にエネルギー分野、医薬品分野の企業化計画、設備計画、生産系情報システムの企画・設計・導入、プロジェクトマネジメントを担当。その間、米国パデュー大学IE学部客員研究員。2005年より文教大学情報学部に勤務。プロジェクトマネジメント学会理事、情報システム学会理事。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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