ラボにおけるERESとCSV【第12回】

2015/12/10 施設・設備・エンジニアリング

望月 清

はじめに
PIC/SおよびFDAのGMP 査察において、データインテグリティ不適合(データ完全性不適合)との指摘が近年目立ち始めている(2013~2014年 PIC/S:6件、FDA:18件)。今回は、PIC/SおよびFDAのGMP査察におけるデータインテグリティ不適合指摘を紹介する。

1.PIC/S査察におけるデータインテグリティ指摘
EMA(欧州医薬品庁)傘下のPIC/S査察当局がGMP不適合と判断した査察結果の概要を第11回連載の表1に示した。そのうちのデータインテグリティに係わる指摘を、以下の要件ごとにまとめる。
▶ 厚労省「ERES指針」の要件
  真正性(セキュリティ、監査証跡、バックアップ)、見読性、保存性
▶ 「申請資料の信頼性の基準」の要件(表1参照)
  正確性、完全性/網羅性

■セキュリティ(アクセス管理)
・アクセス権限が制限されていない
・コンピュータやサーバーが保護されていない
・電子生データの安全性確保が不十分
・データを削除できる
■監査証跡
・監査証跡がない
・監査証跡がなく、データ誤使用を防ぐためのチェックもなされていない
・トレーサビリティ(データ変更の履歴管理)が不適切
■バックアップ、見読性
・指摘事項なし
■保存性
・アーカイブ(データ退避)が不適切
■正確性
・分析者がPCの管理者権限により不都合なデータの分析日時を書き換えていた
・HPLCクロマトグラムをコピーし別ファイル名にして異なるバッチの記録としていた
・データを変更できてしまう
・データインテグリティに問題がある
・データの正当性を保証する仕組みがない
・正確なデータに基づいていることを検証できない
・QCラボに生データがない
・得られた結果に対する管理と照査が不十分
■完全性/網羅性
・データを削除している
・良い結果がでるまで記録しない
・試し分析の生データを削除している
 
表1 申請資料の信頼性の基準
「申請資料の信頼性の基準」とは、薬機法施行規則(省令1号)1)の第43条に規定された申請資料の信頼性を確保するための基準であり、次のように規定されている。GMPにおいても準拠することをお薦めする。

▶ 正確性: 申請資料はデータに基づき「正確」に作成すること
▶ 完全性/網羅性: データの良いとこ取りをしないこと
▶ 保存性: データは所定の期間保存すること

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執筆者について

望月 清

経歴 合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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