これからはじめるGMP入門【第3回】GMPとは何か-ソフトとハードの両面から対応する-
1.GMPは法的要件
私たちの命を守る、医薬品。いつでも安心して使えるように、医薬品の製造では、高い品質を保証するための製造管理や品質管理の基準が定められ、これをGMP(Good Manufacturing Practice)といいます。
これまで2回の連載では、GMPの"心"として、GMPの三原則((1)製造段階における人為的な誤りを最小限にする。(2)品質低下を防止する。(3)より高度な品質を保証するシステムを設計する)や、SISPQ(薬の安全性・Safety、同一性・Identity、力価・Strength、純度・Purity、品質・Quality)についてふれてきました。これらについて「ものづくりの心得としては普遍的なものだ」という印象をお持ちになった方も少なくないでしょう。しかしながら、GMPがある種、「壁」のように、特殊である感じられる場合が多いのも事実です。
この理由のひとつとして、GMPが法的要件という点があるのかもしれません。日本では、医薬品等を扱う際に基本となるべき法律として、薬事法が定められています。第1章第1条には「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする」とあり、この目的のもと、薬事法では医薬品等の製造、販売、流通に関する事項から、医薬品等の表示や広告、さらに薬局の開設に関する事項などについても定められています。また、薬事法には、法律に付属し、その施行に必要な細則や、その委任に基づく事項などを定める政令として施行令(薬事法施行令)が定められています。
医薬品を製造販売するためには厚生労働大臣の許可が必要です。この許可を"与えない"場合として、薬事法には「厚生労働省令で定める基準に適合しない場合」という記述があり、GMPに関わる省令については、「薬局等構造設備規則」および「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)」という省令が定められています。
さらに、法令の円滑な施行・運用を図るため、周知・留意すべき事項を具体的に示した通知や事務連絡が示されます。例えば、ガイドラインなどは通知として示されます。一般的に、法的拘束力をもつ法令とは法律・政令・省令を指し、通知類は行政資料と位置づけられます。しかし、行政の考えを示した資料ですから、実質的な拘束力があるといえます。
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