医薬原薬の製造【第20回】

2016/11/10 原薬

連続反応
 
連続反応の工業的利用について考えてみましょう。連続プロセスのところで解説したように、化学品の大量生産プロセスでは連続反応は多用されています。以下に例を上げます。
 
     高圧ポリエチレン重合(ラジカル重合)
     低圧ポリエチレン重合(カチオン重合)
     合成ゴム重合(アニオン重合)
     ポリアクリロニトリル重合(ラジカル重合)
     接触水素添加反応(3相反応)
 
化学工業の世界では、連続反応は決して珍しい反応プロセスではないのです。むしろ連続反応が当たり前という感じです。化学工業の世界から見るとバッチばかりの原薬製造工場の方が特殊ということになります。バッチ反応と連続反応ではかなり異なることがあるのですが、原薬製造業では、前項で議論したようにバッチ運転、バッチプロセスが常識ということで連続反応の応用がほとんど検討されていなかったのかもしれません。そこで連続反応についてさらに考えてみたいと思います。
 
連続反応装置には二つの大きな考え方があります。チューブリアクターと通常反応槽の二つです。両者の図は以下に示します。これら二つの反応装置には大きな違いがありますが、これについて解説します。前者は、マイクロリアクターの概要説明で示したように、反応溶液をミキサーで混合し、チューブの中を流れる間に反応が進行するものです。後者は、通常の反応槽に反応液をフィードして反応液を言わば垂れ流しにする方式です。


チューブリアクター


連続反応槽

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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