医薬原薬の製造【第1回】

2014/01/20 原薬

はじめに
 
 筆者は、医薬の基礎探索合成とプロセス研究で育てられた後、工場長として原薬工場での製造を11年経験しました。今回「医薬原薬の製造」という題にて、医薬原薬のプロセス検討および製造の仕事に長く従事して得た原薬製造の知識およびノウハウを Confidentialityに問題のない範囲で公開していこうと思います。この連載が、医薬製造に関わる読者の皆様が原薬製造をさらに深く理解する一助となることを祈っております。
 
 さて、原薬について書き残しておきたいことは、沢山あります。私は、最初の記事として、原薬製造では欠かせない溶媒について書こうと思い筆を進めました。しかし、溶媒の選択について理解するためには、医薬原薬の製造コストと価格についてある程度の知識が不可欠であることに、気が付きました。そこで、最初の回は、医薬原薬の製造コストおよび価格について書き、その後に溶媒について書いて行こうと思います。
 
以下は今後書き進める予定です。
 
第1章 医薬原薬のコスト・プライスについて
    薬価ベースの原薬価格
    変動費、固定費の計算の仕方
第2章 溶媒の回収(予定)
    溶媒の回収コスト どういう場合回収するのか?
    塩素系溶剤の使用について
    DMFやDMSOの使用
    ゼオライト膜による脱水
    溶媒の選択
第3章 後処理(予定)
    抽出、廃棄をどうするのか?
    溶媒が混ざることについて
    抽出と温度、
    塩素系溶媒とアミン、
    排水規制
第4章 原薬の製造機器について(予定)
    中途半端な温度 室温、
    撹拌羽と撹拌のスケールアップ
    濃縮
    ろ過と乾燥
第5章 pKa理論の応用(強塩基の選択と相関移動触媒の薦め)(予定)
    プロトンを引き抜く強塩基の選択
    相関移動触媒の原理
第6章 原薬工場でのトラブル経験(予定)
 
 原薬メーカーは、原薬を売って利潤を得るために仕事をしています。原薬会社が一番気にするのは、原薬の製造コストや売値だと思います。この稿では、個別の原薬についてのコスト構造を問題にはいたしません。Confidentialityの問題があって問題にはできないのです。しかしながら、原薬のコストはどんな風に計算されるのか?また、値段はどうやって決まっていくのかについてはお話することができます。以下、私の経験から得た知識を紹介していこうと思います。

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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