実務に役立つ生産管理の仕組み作り【第3回(最終回)】

はじめに
 
 コンサルティング会社であるスタンディッシュ・グループは、1995年以来、数年ごとにITプロジェクトの成功率を分析したCHAOSレポートを発表している。2009年のレポートでは、ITプロジェクトの成功率は32%であり、44%のプロジェクトは納期遅れ、コスト超過、品質不良のいずれかが生じており、24%は、プロジェクトの途中でキャンセルまたは運用に至らない失敗プロジェクトであると分析している[1]。
 CHAOSレポートの分析方法には異論もあるが、ITプロジェクトの多くが失敗であり、運用までこぎつけた場合でも、ユーザーは我慢と工夫をしながらシステムを使用しているケースが多いのではないだろうか。特に、組織と業務プロセスとの関わりが深い情報システム導入は簡単なプロジェクトではなく、運用開始後も業務プロセスの変更など多くの困難を伴うケースが見られる。
 以下では、医薬品製造管理におけるMESを念頭に、情報システム導入が失敗する要因、および、成功への留意点について考察を行う。

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