実務に役立つ生産管理の仕組み作り【第1回】

2012/06/11 製剤

はじめに
 
 これまで製造業は、産業界におけるIT活用の先駆者であった。たとえば、ITを計画問題に活用したのは1960年代に開発が始まったMRP(資材所要量計画)が最初と言えよう。MRPは、MRP II 、ERP(企業資源計画/経営資源計画)に進化し、あらゆる産業の基幹システムとして欠かせない存在になっている。1990年代のはじめに生産部門と販売部門の情報統合を目指したCIM(コンピュータ統合生産)は、当時のコンピュータ能力、情報通信基盤が未整備であったこともあり本格導入には至らなかったが、経営における情報統合の有効性を認識するきっかけとなり、その後のSCM、ERP導入への道筋を作ったと言えよう。また、当時米国GM社が提唱したLANの実装規約であるMAP(Manufacturing Automation Protocol)は、メーカ、命令言語が異なるコンピュータ間の情報交換を円滑にするための接続方法や送受信の方法を取り決めた規格であるが、情報を統合化することの実装上の難しさを浮き彫りにし、その後の情報通信機器のオープン化、生産現場と経営層を情報でつなぐMES(製造実行システム: Manufacturing Execution System)の必要性の認識を高めることになった。
 
 この流れは現在でも変わっていない。近年の製造業の成長は、情報活用と深く結びついている。特に、市場のグローバル化が進む現在では、変化への迅速な対応、効率性の向上が求められ、そのための情報の垂直統合と水平統合による見える化が課題となっている。グルーバル経済で成果を上げるには、市場と生産現場の状況を経営層にいち早く伝え、データと分析に基づく意思決定を行う、そして、製品投入を短いサイクルで調整し極限まで無駄をなくすことが必要となっており、そのためのIT活用が進んでいる。スマートホン、テレビなどでの韓国企業の躍進には目を見張るものがあるが、これらは韓国企業における意思決定へのIT活用にも秘密があると言う1
 
 日本の製造業に目を向けると、近年はあまり明るい話題を聞かない。GNPベースの数字を見ても、1991年をピークに、長期な低落が続いており、現在では1985年頃のベースにまで落ち込んでいる。就業者数ではおよそ40年前の水準であり、これまで繁栄を支えてきたモノ作りは、もはや日本のリーディング産業ではなくなっている。
 
 以下では、これからの製造業の競争力をIT活用による意思決定と考え、その支援のための基盤とも言えるMESについて概説する。
 

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執筆者について

石井 信明

経歴 文教大学 情報学部 教授。
1959年神奈川県横浜市に生まれる。1984年東京工業大学大学院(経営工学専攻)修了後、日揮株式会社入社。システムエンジニアリング部門にて、主にエネルギー分野、医薬品分野の企業化計画、設備計画、生産系情報システムの企画・設計・導入、プロジェクトマネジメントを担当。その間、米国パデュー大学IE学部客員研究員。2005年より文教大学情報学部に勤務。プロジェクトマネジメント学会理事、情報システム学会理事。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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