薬機法改正、特にGMP関係への対応 その中での京都府の取り組み『京都府薬事支援センター』【第8回】

2021/05/21 品質システム

 我が国は法治国家であり、法律の遵守は社会秩序の基本です。また、薬機法について言えば、法令を遵守することが患者の方の命を守ることに直接つながります。直近の死亡を含む健康被害事例についても、背景には法律を遵守していないことがあると考えられます。なお、法律は、その時代に合わせるように変化します。昨年には、令和となってはじめて薬機法が改正されました。本稿では、GMP関係の法改正作業に携わっていた経験も踏まえ、その内容を解説させていただきます。また、このように時世が変化する中で、京都府では新たに『薬事支援』を業務とし、京都府薬事支援センターを設置し、皆さまの支援を開始しています。その内容もご紹介させていただきます。

1.薬機法による薬事規制と、その規制を乗り越えるための支援
 前回まで、薬機法の改正などについて解説をさせていただきましたが、このように法律は変わり、その内容に事業者の方々は対応していく必要があります。

 また、我々、行政は、薬機法の改正された内容や、先日改正されたGMP省令の対応状況などを、調査の中で確認していくこととなります。

 もちろん、適切に対応出来ていない方がおられたら、昨今の事象のように、時には、厳しい処分を下さなければなりません。

 このように、薬機法による規制を通じて、規制される側である事業者の方々、規制する我々、行政という立場関係となります。

 一方で、国際的に規制が高度化、複雑化する中で、我々、行政は、規制をしているだけで良いのでしょうか。

 我々、行政も事業者の方々へ規制するだけでなく、変わりゆく規制を乗り越えてもらうために、規制を行うばかりではいけないという考えに至り、京都府としてはじめて健康福祉部薬務課の事務として「薬事支援に関すること」を京都府の規則(京都府組織規程)に追加することとなりました。

 これにより、令和2年4月より、京都府では、新たに薬事支援に関することを事務として行う「京都府薬事支援センター」が設立しております。

 この「京都府薬事支援センター」は、京都府保健環境研究所(伏見区)の中に所在しており、薬務課が所在している京都府庁とは別の場所に立地しております。

 京都府保健環境研究所は、いわゆる地方衛生研究所の側面も有しており、所内では、医薬品の収去検査(溶出試験等)なども実施しております。
 また、今では新型コロナウイルスのPCR検査等も実施しているところです。

 同研究所は、京都市衛生環境研究所と共同化し、令和元年から新しい研究所としての整備がされ、生まれ変わっています。

 令和という新しい時代、そして改正薬機法という新しい規制において、事業者の方々をサポートすべく「京都府薬事支援センター」が起ち上げられました。
 

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執筆者について

田中 良一

経歴

株式会社シーエムプラス シニアコンサルタント。
2006年 京都府へ入庁。2009年より健康福祉部薬務課にて医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、体外診断用医薬品製造業・製造販売業許認可やGQP/GVP/GMP/QMS調査を担当。日本当局のPIC/S加盟によるQMSの立ち上げに携わる。2018年に厚生労働省へ入庁、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 GMP指導官に就任、GMP/QMS関連の法・省令改正に従事。2020年に京都府へ帰庁、京都府薬事支援センターを立ち上げる。2024年7月にシーエムプラス入社。
業界活動としては、PDA製薬学会関西勉強会、過去には医機連QMS委員会、厚生労働科学研究に参画。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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