医薬品製造事業関連の知財戦略【第3回】

2012/10/15 その他

稲場 均

7.特許の対象となる技術
 
 特許は、産業応用可能な新しい技術に対して付与されるものですから、医薬品についても、最終的に開発された医薬品自体に対してだけでなく、様々な技術に基づいて取得することができます。特に、医薬品の開発過程では、非常に多くの研究や技術開発が行われますから、特許出願を行う機会も多々あります。
 
 特許の対象となる技術は、その技術を応用する際の状態の面から物の発明、方法の発明あるいは物を生産する方法の発明と分類されていますが、医薬品に係る特許技術の具体的な内容によって分類しますと、物質、製法、方法、製剤、用途などの特許に分けられます。医薬品の開発過程では、様々な研究成果が得られ、その多くが特許取得の対象となります(表3を参照)。
 
 なお、医療分野においては、医療方法に関わる特許を取得することはできません。これは、特許権によって医療行為に支障を来すことを避けるために特許の付与が制限されていることによるものです。従って、医薬品に係る技術についても、投薬方法、診断方法など、医療行為と関連する方法の発明については、特許を取得することはできません。このため、例えば、医薬品の効能効果に係る技術では、「○○疾患治療法」とする方法の発明は特許の対象とはなりませんが、「○○疾患治療剤」とする物の発明として特許を取得することは可能です。
 
表3.製薬に関連する様々な特許

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執筆者について

稲場 均

経歴 千葉大学 医学部付属病院 臨床研究基盤整備推進委員会シーズ評価専門部会委員
持田製薬(株)にて中央研究所副部長、知的財産部長を歴任。千葉大学での特任教授を務め、2009年4月より現職。この間、2010年より日本製薬工業協会知的財産部長。2012年から2015年まで東京医科歯科大学客員教授を兼任。また日本知的財産協会の特許委員長、バイオテクノロジー委員長、常務理事、副理事長を務める。その他、特許庁:微生物寄託検討委員会委員、環境省:生物多様性条約名古屋議定書検討委員会委員、知的財産研究所:用途発明に関する調査研究委員会委員を歴任した。
現在の研究内容は『製薬企業の知財活用、医療分野の実用化促進に資する知財戦略の推進』である。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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