医薬品GLP基礎知識のよもやま話【第3回】

2020/06/26 非臨床(GLP)

第2回では、第1回を含めてGLP調査対象試験の適切な報告書は、①成績に基づき、正確に作成され、②結果を完全に網羅し、③報告書と根拠資料(生データなど)をセキュリティの高い方法で保存する基準(GLP厚生省令)、並びに信頼性の検証のために施設内QC・QAの大切さについて述べた。
新規の医薬品の開発では、国内ばかりではなく、多くの国々で開発された品目の導入が一般化し、適切な試験方法と報告書のひな形の共通化による開発・規制・流通の推進が急務となり、1990年より医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されている。2015年ICHはスイスにて法人となり、我が国からはPMDA(独法 医薬品医療機器総合機構)職員が専門家作業部会に参加し、ガイドラインの作成・改訂・合意形成がなされていることは周知です。
此処では、非臨床試験の実施、報告に密接に関わるICHガイドラインと申請書に係わる書面調査とGLP適合性調査について述べる。

非臨床安全性試験に係わる主なガイドラインとして
非臨床試験の実施時期(ICH-M3)、毒性試験種(ICH-S1:がん原性、-S2:遺伝毒性、-S3:薬物動態、-S4:毒性、-S5:生殖発生、-S7:薬理、-S8:免疫、-S10:光安全性)、試験の評価方法(ICH-S6:バイオ応用、-S9:抗腫瘍、-S11:小児用薬案、-Q3:不純物),申請書のひな形(ICH-M4:CTD、-M8:eCTD)などがあり、ICHガイドラインが整っていない試験種や化学物質(OECD)ガイドラインで開発された試験もGLP調査対象試験では、適合性調査対象となる。
ガイドライン詳の細は、規制当局のWebサイトを参照ください。
第2回で示した適切な試験報告書と申請書のための要素①試験の計画・実施、②科学的な評価・解析、③試験実施の記録と検証にICHとのガイドラインとの関連スキームを次のように加えた。なお、非GLP非臨床試験申請書もICH-M4 CTD(コモンテクニカルドキュメント)は適用される。
 

試験施設内の該当試験報告書と根拠資料との整合性が主体の品質の検証(QC)に加えて施設の運営を含む信頼性の保証(QA)の責務は省令の説明で既に述べているので、QC業務について追加する。

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執筆者について

飯島 護丈

経歴 獣医師、1975年台糖ファイザー株式会社(現:ファイザー社)入社。
研究所では、各種毒性試験の試験責任者を担当し、申請書類の作成、照会事項への対応にも携わる。新医薬品・医療機器・医薬品添加物、一般薬、農薬、動物用医薬品、化学物質の品目に係わる。
GLP導入に伴い米国や欧州でGLP研修を受ける。GLP統合型毒性試験システムの導入・運用のためSystem manager研修、責任者も務めた。
その他、医学系大学病理学で学位を受領、モントリオール大学では毒性学の研究も行う。
2007年定年退職後、AEIC研究所 代表 非臨床開発コンサルタント
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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