医薬品の原材料管理とサプライヤーオーディット【第5回】

2019/10/18 製造(GMDP)

これまでの掲載内容:
 前回(2018.9.28)第4回に引続き、今回は原材料(出発物質、中間体、原薬、重要原材料及び資材、添加剤等)のオーディットによる評価法及びリスクに応じたサプライヤー管理について検証する。

はじめに
 これまで第1回~4回連載でも述べてきたように、医薬品のグローバル化の中、特にサプライチェーンにおいては、製造委託先/サプライヤー管理(以下、供給者管理と同じ)の対象が、原料調達のための委託先や供給業者のみならず製造機器、製造支援設備、コンピューターなどのハードソフト製造業者、そして製品を流通させる代理店、仲介業者、貿易業、流通業者なども加え、より広範な領域にまで拡大している。それに伴いより適切な製造委託/サプライヤー管理が、原料調達や、医薬品の品質保証且つ製品の恒常的安定供給に欠かせない重要事項として位置付けられる。
 従来から原材料業者における「製造及び品質管理等に関わる業務」の確認はGMP管理上の重要な業務であったが、平成25年に発出された一部改正GMP施行通知により、当該原料を用いた原薬や製剤の製造業者にも求められ、令和2年改正が予定されるGMP省令改正案では供給者管理が製造業者のGMP要件に省令化される。正しく原材料業者の委託先や供給者の管理が行われなかった場合、原材料に起因した製品への異物や不純物混入、重大な品質不良或いは逸脱発生、更には様々な事情で原料が供給されなくなった場合、市場へ製品供給不可・製品欠品という深刻な事態を招くことになる。
 今回は最終回として、近年特に重要視される原材料(原薬、原材料、添加剤)のオーディットによる評価法及びリスクに応じたサプライヤー管理について、医薬品品質システム(PQS)及び品質リスクマネジメント(QRM)管理の上から解説する。
    4.2 原材料製造所のオーディットによる評価法(第5回)
    5 リスクに応じたサプライヤー管理(第6回)
   リスクマネジメントの活用によるサプライヤー管理とリスク低減

4ページ中 1ページ目

執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

5件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年5月30日(金)10:00-16:30

バイオ医薬品の開発とCMC戦略

2025年6月16日(月)10:30-16:30~2025年6月17日(火)10:30-16:30

門外漢のためのGMP超入門

2025年9月10日 (水) ~ 9月12日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第20期

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます