製薬事業所のペストコントロール【第14回】

2024/12/27 品質システム

坂井 盛

前回に引き続き参考になる規範について解説する。

◆ 参考となる規範 その3
 
第12回、第13回に続き、ISO/TS22002-1:2009  Prerequisite programmes on food safety – Part 1: food manufacturingのペストコントロールに関する規範(要求事項)を取り上げ解説する。加えて、当該国際規格のペストコントロールに直接言及した要求事項(条項12.1から12.6)以外に、ペストコントロールに言及しているその他の要求事項についても併せて解説する。

管理プログラムの考え方

要求事項 12.6 駆除
 駆除手段は,出現の証拠の報告があった場合,直ちに実施しなければならない。
 殺そ・殺虫剤の使用及び適用は,訓練された熟練者に制限され,及び食品安全ハザードを避けるように管理されなければならない。
 殺そ・殺虫剤使用の記録は,使用した種類,量及び使用濃度を示すために,維持されなければならない(どこで, いつ,どのように適用されたか,及び対象有害生物)。


 当該要求事項は、ペスト(有害生物)が出現してほしくない建屋・区域に現われ、他に有効な手段がない場合に、殺そ・殺虫剤などを使ってペストを駆除することを求めた要求事項である。本連載の第12回で解説した「要求事項 12.1 一般要求事項」にあるように、有害生物を制御するための手段として、「衛生,清掃・洗浄,受入れ材料の検査及びモニ夕リング手順」が位置付けられており、原則予防管理を前提とはしているが、やむを得ない場合は「駆除」という手段で対応する旨が要求されている。但し、駆除作業を担任する要員は “訓練された熟練者に制限” される。
 同じく、本連載の第12回で解説した「要求事項 12.2 有害生物の防除プログラム」の中には、「有害生物の防除管理プログラムは・・・訓練を文書化しなければならない。プログラムには・・・承認された化学薬剤のリストを含まなければならない。」との記載があるが、これは、上記の駆除作業を担任する要員に対する事前の“訓練”を要求するものであり、加えて“予め承認された殺そ・殺虫剤”以外使わせないように制限するものである。更に、承認された殺そ・殺虫剤であっても、その使用記録は、薬剤の種類、量、使用濃度と共に、“対象有害生物・使用した場所(区域)・日時・適用方法” まで仔細に記録することを求めているが、これは「食品安全ハザード」を避けるよう管理するためであることが規定されている。
 「食品安全ハザード:food safety hazard」は、関連する国際規格において以下のように定義されている用語である。
 “biological,chemical or physical agent in food with the potential to cause an adverse health effect(健康への悪影響をもたらす可能性がある、食品中の生物的、化学的若しくは物理的要因)”
即ち、“食品安全ハザードを避けるように管理されなければならない”という要求事項の意味は、医薬品の分野と同じく、人の健康に悪影響(罹病、傷病)を及ぼさないための管理(制限)であり、殺そ・殺虫剤は、使用しないで済むのなら、それに越したことはない。

 

 

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執筆者について

坂井 盛

経歴

アース環境サービス株式会社 
開発本部 能力開発センター
Chartered Quality Institute - The International Register of Certificated Auditors (CQI|IRCA):英国王室公認品質協会/国際審査員登録機構 ; Principal Auditor / IRCA Japan Technical Assessor / Technical Expert。(一財)食品安全マネジメント協会JFS-A/B規格 監査員・判定員。PDA製薬学会会員。関西医薬品協会品質委員。食品・医薬品関連法人向けサービスプロバイダとして、組織・生産施設の品質問題の改善、従事者教育訓練、監査業務に従事。 著書に「非無菌医薬品の製造、品質管理/微生物管理の必要レベルと環境モニタリング測定・基準値設定」(サイエンス&テクノロジー㈱、共著),「2017年医薬品における倉庫および輸送の品質管理の実務~GDPへの対応、必須事項、監査のポイント、GMP体制、教育訓練、運用~」(㈱情報機構、共著)などがある。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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