【第2回】今、求められるQA部門の体制の構築について
1.4 安定性モニタリング(GMP省令第11条の2)
安定性モニタリングであるが、安定性モニタリング検体の採取、保管、そして実際に都度の試験を行うことをイメージとしている方が多いのではないだろうか。
もちろん上記の内容については、QC部門が管理を行うこととなると考えるが、条文(表4)では、安定性モニタリングはQC及びQA部門全体(品質部門)として計画的に適切に行わなければならないとされている。
特に第1項第1号で、リスク特定・評価・その結果に基づいた安定性モニタリング対象の選定や第1項第2号の試験項目の選定では、QC部門の試験に対する知識・経験を踏まえつつ、QA部門が医薬品ライフサイクルを通じての品質保証をしていく上での最終的な選定が必要と考える。
第1項第4号における安定性モニタリング結果の評価であるが、これはGMP事例集2022版(表5)にも記載されているとおり、QA部門による評価が望ましいとされており、もちろん結果のまとめや一次評価はQC部門として行っても良いと思われるが、最終的な医薬品ライフサイクルを踏まえた品質保証をする上での評価は、QA部門がその経験や知識に基づいて実施していかなければ問題が生じる可能性が高いという意図だと考えられる。
そして、その評価結果に基づき第2項の製造販売業者への速やかな連絡や回収の判断等必要な情報提供等などの所要の措置はQC部門や製造部門などと連携を行うと考えるが、通常はQA部門が製造販売業者との連絡窓口や実際の対応を行う必要があるのではないだろうか。
(安定性モニタリング)
第十一条の二 最終製品たる医薬品の製造業者等は、当該医薬品について、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる安定性モニタリングに係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない。
一 品質リスクを特定し、評価を行った結果に基づいて、安定性モニタリングを行う医薬品を適切に選定し、必要量の検体を採取すること。
二 当該医薬品の規格のうち保存により影響を受けやすい項目及び当該規格に適合しない場合に当該医薬品の有効性又は安全性に影響を及ぼすと考えられる項目を、試験検査の項目として選定すること。
三 第一号の検体を保管し、前号の項目について、適切な間隔で試験検査を行うこと。
四 前号の試験検査の結果に基づき、当該医薬品の品質への影響を評価すること。
五 前各号の業務に係る記録を作成し、これを保管すること。
2 最終製品たる医薬品の製造業者等は、前項第四号の評価の結果から、当該医薬品の規格に適合しない場合又はそのおそれがある場合においては、当該医薬品に係る製造販売業者に対する速やかな連絡、医薬品の回収の判断に必要な情報の提供等、所要の措置をとるとともに、当該措置に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。
表4 GMP省令第11条の2 安定性モニタリング
GMP11の2-12(安定性モニタリング)
[問]GMP省令第11条の2第1項第4号に「前号の試験検査の結果に基づき、当該医薬品の品質への影響を評価すること。」とあるが、この評価は、品質部門の試験検査に係る業務を担当する組織と品質保証に係る業務を担当する組織のどちらが行うのがよいか。
[答]GMP省令第11条の2第1項第4号の評価については、客観的な評価が必要であることから品質部門のうち、品質保証に係る業務を担当する組織が評価を行うことが望ましい。
表5 GMP事例集2022(抜粋)
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