医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第56回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「KYTだけでは製薬工場の現場オペレーターを守れない」


1.製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も夫々の工場で日々働いています。GMPは医薬品の品質を守り、患者様を守っています。一方、HSEは工場で働いている従業員の皆さんを守るべく、グローバルスタンダードの安全や健康被害リスクを低減するマネジメントシステムで運用されています。近年、この健康被害のリスク低減は国際法によって企業のトップに「サプライチェーンを巻き込んで従業員を守りなさい」という意味の人権尊重方針のコミットメントを作成し、公開するよう求めています。さて、日本の歴史的な安全活動であるKYTはとても良い歴史的な活動です。作業前にこれから実施する作業の危険を予知して安全意識を高める事が出来ます。そして、企業や工場の目標「災害0をKYTで達成しよう」という活動も重要ですが、精神面だけでは完全を期すことは出来ません。多くの工場でKYTは職場に定着していてGMP同様、日常的に作業前TBM(Tool Box Meeting)で今日の作業予定とその作業にどんな危険が潜んで入るかをグループで話し合い、今日の安全重要ポイントを決め、全員で安全唱和し「何々しよう!ヨシ」「0災でいこう!ヨシ」と声を掛け合うことが出来ているものと思います。又、これは毎日の安全意識を高めるために重要です。これは前述したように安全意識を日々高めることは重要ですがこれだけでは足りないことが近年明らかになってきました。KYTに物理科学的な根拠が見つからない事が問題で、更なる安全作業レベルを求める上で必要であることがわかってきました。一例がPermit System(安全許可証システム)とその具体的なシステムであるLOTO(Lock and Tag)Systemです。これをリスクアセスメントで優先順位の高い作業を明確にした上でハード面とソフト面の対策をPermit SystemとLOTO Systemで施錠と表示を実施する事により、重大リスクの低減を図る手法がHSEのグローバルスタンダードで管理されることの重要性がサプライチェーンも巻き込んで従業員の安全を確保する為に必要である事が求められるようになりました。製薬工場の生産ラインやユーティリティ設備の管理をする上でこれらの運用が図られると製薬工場のビジネスを継続する上で重要である事があるべき姿と言えるのでしょう。

人の不安全行動グローバルスタンダードではHuman behaviorという。リスクアセスメントを行い、リスクの大きな順に優先順位を決め、リスク低減対策を実施します。ハザードの特定を行う際、上記の人の不安全行動(Human behavior)もリスク低減対策を行います。このリスク低減対策の重要なシステムはPermit system(許可証システム)とその一環であるLOTO System(ロックアウト、タグアウト)で元々危険度の高い作業については事前に届けた安全対策を実施し電気、圧力空気、油圧など残圧を放出して、施錠と表示を施した後、作業開始指示を責任者が出すプログラムになります。これらが日本の歴史的なKYTのみをやって作業を開始する活動とは根本的に異なります。 あるべき姿は日本の製薬工場でもPermit SystemやLOTO Systemを製薬工場の現場オペレーターや外注工事会社に教育され、徹底実施されなければなりません。欧米に遅れをとっている事例は文化のみではありません。先ずは何事も自覚することが重要です。

 

 

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