GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第83回】

防虫防鼠

1.衛生管理
 GMPの衛生管理として、防虫防鼠が求められていると理解されているだろう。

<図1 防虫防鼠>

 GMP法令や施行通知には、防虫防鼠として求められていない。薬局等構造設備規則1)に記載がある。

(一般区分の医薬品製造業者等の製造所の構造設備)
第六条 施行規則第二十五条第一項第四号の区分及び施行規則第三十五条第一項第四号の区分の製造業者及び医薬品等外国製造業者(法第十三条の三第一項に規定する医薬品等外国製造業者をいう。)(以下「医薬品製造業者等」と総称する。)の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
四 製造作業を行う場所(以下「作業所」という。)は、次に定めるところに適合するものであること。
ニ 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。ただし、医薬品の製造の用に供されることが目的とされている原薬たる医薬品(以下「原薬」という。)に係る製品の最終の精製を行う前の製造工程を行う作業所であつて、当該製造工程の製造設備が密閉構造である場合においては、この限りでない。


 食品の製造工場や保管倉庫、販売スーパーなどで虫や鼠(ネズミ)を防ぐための様々な対策・処置を施す一連の作業を行っている。医薬品工場においても、防虫防鼠の対応を行う。日本は外国の医薬品原薬、製剤製造業と比べ、厳しい管理を行っていることが多い。海外の原薬製造所で、防虫管理についての質問に、工場内には噴霧していないが、工場棟の周辺に定期的に殺虫剤を噴霧しているとの回答であった。医薬品に混入する恐れがないか尋ねたところ、施設内に噴霧することがないので、問題はないとの回答であった。
 日本国内の医薬品の製造業者の管理は、防虫防鼠として、常時、モニタリングを行い、虫の発生状況を確認している。虫の発生を確認し、虫の混入を防止する必要な対策をするのが一般的である。

<図2 トラップとモニタリング>

 季節などの時期、その地域により、発生する虫の種類は異なる。異物として、虫が混入するケースや虫により雑菌として汚染するケース、従事者が虫により発症し、製品を汚染するケースなど様々な環境汚染が考えられる。そこで発生する虫を把握して対策を取ることが必須条件である。発生する虫を理解しなければ対策は行えない。リスクを考え、虫を処分する必要があるか、どのような措置が必要かを承知しなければ、医薬品の汚染防止を果たすことはできない。製造、試験検査の現場の衛生管理として必要な対策をする必要がある。

 

 

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