製薬事業所のペストコントロール【第12回】

◆ 参考となる規範
 
第8回から前回までペストコントロールプログラムの構築と、その継続的改善の進め方の手法(手順)の一例について、事例を交えて延べてきたが、今回は参考になる規範について解説する。
 第2回の“ペストコントロールに係る法規制”の項で述べたように、ぺストコントロールに係る要件として、国内外の法規制の中に記載されているのは、

  • 「防虫及び防そのための構造又は設備を有すること(省令第二号)」、
  • 「建物には、げっ歯類や鳥類、昆虫類、その他の有害小動物(試験動物は除く)が侵入できないこと。“Any such building shall be free of infestation by rodents, birds, insects, and other vermin (other than laboratory animals).(CFR21 part 211 § 211.56 Sanitation)“」、
  • 「昆虫又は他の動物の侵入から最大限に防御できるように、施設を設計し、装備すること。“Premises should be designed and equipped so as to afford maximum protection against the entry of insects or other animals.”(PIC/S GMP Part I - Chapter 3: 3.4)」、
  • 「文書化された方針、手順書、実施計画書、報告書、講じられた措置に関連する記録書、又は結論書があること。ー ペストコントロール;“There should be written policies, procedures, protocols, reports and the associated records of actions taken or conclusions reached, where appropriate, for the following examples: − Pest control;” (PIC/S GMP Part I - Chapter 4: 4.29)」

などであり、要件の内容はシンプルで分かりやすい反面、どのように実現したらよいのかについては、各組織が考えねばならない。
医薬品GMPに於けるペストコントロールのガイドラインとしては、ISPE日本本部のCOP(Community of Practice)の工場諸問題分科会「防虫防鼠管理の手引き」ワーキンググループが作成した「防虫防鼠管理の手引き」や「Pest Control Hand Book」が有名で、じほう社から「防虫防鼠ハンドブック」として編集されたものが出版されている。医薬品製造所における防虫防鼠管理の基本的な概念、方策、工場内での管理方法や、ペストコントロールのサービスプロバイダとの業務契約などについて解説されているので、これを参考に管理プログラムを構築していくのが正解のひとつであるが、もうひとつの参考例として本稿では異業種である食品業界向けに開発された国際規格をとりあげる。

 

 

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