医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第54回】

国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「Auditシステム運用で日本の製薬工場が世界にアピール」


1.製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も夫々の工場でGMPやHSEの専門技術スキルを習得することでその職務を発揮することが出来るようになります。さて、ここで必要となるのが企業のAudit対応とその準備では無いでしょうか。HSEやGMPのスキルを磨く事で社内のグローバルスタンダードをどの程度取り込めているのか、その基となるGMP方針やHSE方針が如何に社内に浸透出来ているのか?を継続的に評価して浸透度を測る事が重要です。社長のコミットメントや方針がグローバルスタンダードに展開され運用されていることが重要です。従って、コミットメントや方針が作られただけでは絵に書いた餅といわざるを得ません。どこまで運用出来ているかを定期的にそして必要時にAuditで浸透度合いを評価して、何が不足しているのかを見える化し、社内でマネジメントシステムを廻してゆかねばなりません。中でも重要度が高いのはコンプライエンスの法律対応です。

最近、日本政府(厚労省)から後発薬の製薬企業に不足医薬品の数量不足の問題を新聞紙上で発表されていました。又、人材不足、BCM災害対応とビジネスの継続準備、保険等加入準備不足などなど製薬企業の社会的責任を果たすべく、その対策案として生産能力不足と人材不足に手を入れる事が明言されていました。そして、製薬企業に会社業務整理や会社統合を検討するよう要請がされていました。国の要請であれば企業はなんとかしたいと思うところではありますが、現実は会社の存続と安定経営で売り上げと利益を守りたいと考えるのは当然のことです。日本の製薬企業の立場では会社を如何に末永く売り上げを計上し、安定したビジネスの継続を図りたいと考えるところだと想像します。この中で企業は法的問題を起こしていては、ビジネスは継続出来ません。国の要請を受け入れたい事と法律を守ることは似たようで大きな違いがあります。さて、これを国際的な立場で運用を考える事が必要不可欠な時代になりました。つまり、国内でも多様化により外国人従業員の採用をなくして優秀な生産現場経験者が即戦力として採用出来る確率は大変厳しい物となっています。

本音はやむを得ずかも知れませんが、採用した企業の責任は既に発生しています。結果GMP、HSEのグローバルスタンダードも持たずに外国人が従業員の方々に安全安心で働ける工場職場は無いに等しいと言えるのではないでしょうか。ましてや、日本人は不満を言わずに働いていてくれるから問題なしと評価していては、これからのビジネスは継続する事が難しいと考えて頂くべきです。国連のグローバルコンパクト10原則の人権や労働に関する要件、国際法として対応が求められている「ビジネスと人権に関する指導原則」そして人権に関するDecent Work(働きがいのある人間らしい仕事)など国際化多様化で必要な企業の対応が国際法として求められている事を社内グローバルスタンダードに取込み社内Auditでどこまで浸透出来ているかを評価し、改善を繰り返すマネジメントシステムが回っていなければなりません。

さて、日本の製薬企業ではHSE(健康安全環境)の部署を持たないか持っていても専門家が育っていない為、グローバルスタンダードやそのAuditが定期的に進められていて評価結果としての社内への浸透度が誰にでもわかる用に「見える化」されている事が重要です。

いまや、社内とサプライチェーンAuditは企業の生き残りを賭ける重要な戦略として位置付けされています。世界規模でこのAudit マネジメントシステムに対応出来る力をつけることがあるべき姿ではないでしょうか。

HSE Audit : 継続的改善のための「リスク調査」・・マネジメントシステム

 

 

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