【第8回】Pharma4.0と製造現場のデジタル化施策

本コラムでは、Pharma4.0スマートファクトリーに向けた医薬品製造業の課題に対する当社の各種取り組みをご紹介します。大きな基盤づくりの方法論から、各種課題解決ツールまで、幅広くご紹介しますのでご期待ください。

第8回目は、「ELNとDX」と題し、ELN(電子実験ノート)導入の昨今の状況をお伝えするとともに、当社によるELNプロジェクトの推進手法、ならびにELNを導入する際に期待できる効果についてご紹介します。

1. ELN(Electronic Lab Notebook)導入の今
紙から電子へ。医薬品業界に取り巻く各種法規制として、ER/ESや監査証跡など電子化に関する各種ガイドラインが制定された以後、研究開発・品質管理分野では紙面への記録からコンピュータ技術の発達によるELN(電子実験ノート)へと急速に拡大していきました。特に欧米での拡大は顕著でしたが、日本国内はその数年後から後追いで拡大しています。近年では、医薬品業界において法規制対策としてのELN導入が進んだ一方、データ活用による商品開発のスピードアップを狙いとした化学・食品分野でのELN導入の波も押し寄せています。

当社ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)では、2010年代のELNパイロット導入プロジェクトを経て、国内メガファーマへの本格導入を皮切りに、ELNを中核技術とした大規模なLIMS(ラボ情報管理システム)の構築を複数件実施しています。最近では、化学品会社にELNを導入しました。これは、単にエビデンスとしての電子記録保存のためだけでなく、蓄積したデータの活用などを目的としたいわゆる「DX戦略の礎」としての導入です。ラボDXの取組が浸透したことにより、シンプルにELNとしての利用を目的とした小規模プロジェクトの事例も多くなっています。まさに今、我が国において、ELNは拡大期にありその裾野を広げている状態であると思われます。

2.B-EN-GのELNプロジェクト推進手法
医薬品、化学、食品業界における高需要なELN導入プロジェクトを円滑に推進すべく、当社では独自の開発方法論を制定しています。同時に、第三者視点でのCSV(コンピュータ化システムバリデーション)コンサルティングサービスをご提供しプロジェクトサポートを実施することにより、当初スケジュール・導入機能との乖離低減かつ高品質な、顧客満足度の高いシステム導入サービスを実施しております。

特に、ELN導入プロジェクトでは、単にソフトウェアを導入し、使用方法をトレーニングするだけではなく、「テンプレート」と呼ばれる試験記録のひな型を提供しています。ELN導入においては、現行の記録書をそのまま電子化することは困難であり、レイアウトを含めた操作感にギャップを感じることも稀ではありません。プロジェクトのゴールは記録書の電子化であり、お客様が新システムをいかに利用するかがカギとなります。このギャップを最低限にするために、「プロトタイプ」を代表的なテンプレートで作成し、ELNの検証機にてお客様がその動作を事前に確認することができるようにしています。このことはお客様が真に望むテンプレートのご提供につながっています。

その他、製薬業向けにはテンプレートを含め、CSVに準拠した各種ドキュメンテーションを実施。将来の査察に備えた高品質な成果物を提供しております。

テンプレートプロトタイピングのイメージ

 

 

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