ドマさんの徒然なるままに【第68話】ハッピーセット

第68話:ハッピーセット

マクドナルドのハッピーセット*1、言わずと知れた「おもちゃなどが付いている子供向けハンバーガーセット」である。筆者の子供たちが小さい時に、何度か購入した記憶がある。その時は、「こんなおもちゃで釣られるなんて、割に合わないよなー」なんて思っていた。しかし、孫がいる歳になって気づいた。「そうじゃない。ハッピーセットのおもちゃで喜ぶ子供を見て、その家族全員がハッピーになる」という意味なんだと。家族をハッピーにするセット商品だからハッピーセットなんだと、ようやく気付いた。

ハッピーセットが家族をハッピーにするためのものであるならば、医薬品も家族をハッピーにするものと言える。患者本人が喜ぶのは当然として、治癒や緩和することで、家族がホッとする。ファストフードと医薬品という違いこそあれ、目的とする究極の狙いは同じであると言えるんじゃないか。

ということで、“こころのクスリ屋”である当店「ドマ屋」では、こんなGMPハッピーセットをご用意しました。


● GMPハッピーセットのポリシー
皆さん、マクドナルドのウェブサイトの中にハッピーセットに限定したHP*2があるのをご存じでしたか? そして、その中には、ハッピーセットのポリシーが記載されているのを知ってましたか? 大変素敵な内容が示されています。
それをもじってドマ屋のGMPハッピーセットのポリシーです。
『私たちは、疾病に苦しむ患者様の「今」も、そして「未来」も、明るく幸せなものであって欲しいと心から願っています。そのために、ハッピーセットは「飲み薬」」や「注射薬」で、患者様が病気を忘れて、いきいきと自分らしく生活し、人生を楽しむことをサポートしていきます。』

● GMPハッピーセット開発の考え方
さらに、マクドナルドのハッピーセットのHPには、ハッピーセットのほん・おもちゃ開発の考え方が素敵な木のイラスト(7つの成分によって育つ3つの実です)とともに示されています。如何に子供の成長を考えているかが窺えます。
それをもじってドマ屋のGMPハッピーセット開発の考え方です。
『ドマ屋は、ハッピーセットの「飲み薬」」や「注射薬」で患者様が自身の病気を忘れ、安心して仕事ができるように品質確保に努め安定供給したいと考えています。自社らしさを発揮するための品質保証に必要な想像力・行動力・創造力を育むことを目指し、職員全員がその道のプロとして更なる成長のための7つのテーマに沿って自身を開発させることで会社を発展させます。』

ちなみに、ドマ屋のGMPハッピーセットの考え方における7つのテーマとは、以下のものです。
①Good Practices、②上下を問わないフェアなコミュニケーション、③記録化を含む適切な文書管理、④プロセス設計の妥当な論理性、⑤適正な人員配置、⑥空間・空調を含む適切な環境管理、⑦科学的合理性に基づく作業

コレッて、GMP省令で言っている「品質方針」と「品質目標」と同じなんじゃね。そこの製薬会社さん、PQSだ、Quality Cultureだ、何だ、と言っているくらいならば、少し見習って、心に響く自社の「品質方針」と「品質目標」を立てたら!? 勿論、立てた以上、それに基づいて実践することが前提ですからね、お忘れなく。

● GMPハッピーセットの企画
ハッピーセット、かなり昔からあるが、あの付いている「ほん」や「おもちゃ」、企画と称して、家に帰れば良きお父さん・お母さんであろう担当者が、ご自身の息子さんや娘さんが「何々が欲しい」と言っていた言葉を思い出し、ときにはお子様に直にアドバイスを受け、そこに子供の気持ちを理解できる優しいお姉さん・お兄さんが加わって、時間を忘れて昼夜企画を練ってるんだろーなー。

ドマ屋でも、製造管理者をリーダーに、QA部門長が進行役として製造部門長とQC部門長、必要に応じて各部門からの実行役などが加わり、激論を交わしております。ただ、情けないのは、逸脱が生じてしまった場合がほとんどなんですよね。しかも話に発展性が乏しく、“相変わらず”といった感じなんですよね。読者の皆さん、ドマ屋への的確なアドバイスをお願いします。良きアドバイスを採用し、皆さんがよりハッピーになれるセットをご用意し、「品質+幸福感」を向上させたいと思います。

● ちょっといい話
ちなみに、SNSニュースによると、今年の4月にトヨタの会長・豊田章男さんがハッピーセットを購入したらしい。当時のハッピーセットには「トミカ」のおもちゃとして「トヨタ GRカローラ マクドナルド仕様“ゴールド”」がラインアップされていたらしい(現在は違っています)。4種類の「トミカ」からのランダム渡しだが、“金のカローラ”に当たって、満面の笑みで「当たり! 当たり!!」と言い、大喜びする姿を見せたとのことである。グループ内の日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機の不正行為で頭を抱える中での、“金のカローラ”、さぞかし嬉しかったであろうと想像する。

こういう話はいいよねー。売る側、買う側の両者がハッピーになれるということが大事ですよね。ドマ屋としても、患者さんやその家族だけでなく、名前も知らない家族が治癒して幸せな日々を送っているといった話を聞いただけでハッピーになれるセットを提供したいと思います。

● ハンバーガーショップは製薬会社に似ているか!?
ハンバーガーショップの分担作業、よくよく考えると製薬会社に似ている。パテを焼く者、バンズに挟んでハンバーガーに仕上げる者、飲み物やポテトなど一式をプレートにのせる者、他の注文と合わせて客の注文全体を確認する者、注文通りかどうか再チェック(これぞダブルチェックである)し客に手渡す者など、一連の作業がそれぞれのSOPに従い、黙々と作業する。いや、それだけじゃない。客の下げたトレイを洗う者、次の客のためにイスを直しテーブルを拭く者、さらに流れを良くするために接客対応する者など、役割分担が見事である。この流れを製薬作業になぞらえるならば、原薬 ⇒ 製剤化 ⇒ QC ⇒ QAレビュー ⇒ 出荷とほぼ同じである。先述の後段は、洗浄作業や品目ごとの人員配置に相当すると言える。

でも大きな違いがあるんですよね。ハンバーガーは、出来立てほやほやをその場で手渡し。一方で、(医療用)医薬品って、「製造所 ⇒ 物流センター ⇒ 卸売販売業者(複数社の場合あり)⇒ 病院・薬局 ⇒ 患者」の流れで、実際の服用者である患者さんの笑顔を見る機会が無いんですよね。でも、患者さんの病気が治ってハッピーになるなら、それでもいいです。それがドマ屋の仕事であり、喜びであり働きがいですから。

ちなみに、マクドナルドの“スマイル”はゼロ円ですが、ドマ屋の職員の“スマイル”もゼロ円です。ただ、お見せする機会が無いのが残念です。

● お宅も“ハッピーセットやさん”になりません?
どうですか、あなたも“ハッピーセットやさん”になりませんか? いや、そうじゃないな。製薬会社という存在、それ自体が“患者さんのハッピーセットやさん”のはずだし、そうじゃないとマズイよね。最近は“Quality Cultureの醸成”なんて言葉をよく耳にするが、それって、“患者さんのハッピーセットやさん”になることなんじゃない? お宅はなっていますか? なっていない!? 近所のマクドナルドに行って、ピッグマックでも食べながら真剣に考えなさいよ!

少なくとも、査察や監査での指摘減らしに専念することは、悪いこととは言わないが、本来の目的からはズレてるんじゃないのかな? 指摘を受けないことは嬉しいことだし、良いことだが、それは普段からキチンとやっていることが前提での結果であり、目的ではないはず。悪く言えば、本末転倒なんじゃないですかね。

そんなことを考えていたら、こんな、いい歳を超えたジジイだが、何となくハッピーセットを注文してみたくなった。今度、孫と行く機会があったら、自分用として注文してみよう。なんで孫がいるときなんだってか? 正直言います。ジジイ独りで頼むのが何となく恥ずかしいんですよ。そのくらい分かってください。


では、また。See you next time on the WEB.



【徒然後記】
最近のTVはつまらない
最近のTV番組ってつまらなくなったと思いませんか? 特にコロナ禍以降、それが顕著になったような気がする。同じような類の番組がどこの局でも、ほんのちょっと見た目を変えて放送しているように思える。正直、創造性が薄れているようにしか思えない。
YouTubeを筆頭に様々なプラットフォームが出ているので、自分好みのものをチョイスして観たほうがお得と言わざるを得ない。映画やドラマであれば、Amazon PrimeやNetflixのようなものもあるし、ちょっとしたものならば、FacebookやInstagramで充分とも言える。
若者からすれば、コンピュータやスマホは物心が付いた時から存在していたわけであり、時間や場所を気にせず、観たいものを自分の都合で観れる。TVに対しても筆者のような年寄りとは違った感覚で受け止めているであろうし、情報入手は明らかに違うであろう。
話変わってGMPの世界、GMP? バリデーション? QA? 何のこっちゃ? なんて思いながら情報を集めてあたふたして対応した時代を育ってきた者としては、現在はむしろ情報過多なんじゃないかと思ったりする。SNSのようなフェイクニュースは無いとしても、本当にそうか? なんて首を傾げるものもある。自社、自製造所、さらに自製品への対応については、有り余るほどの情報に惑わされないような注意が必要だ、一歩間違うと自己都合の情報ばかりを信じミスリードしてしまうんじゃないか、なんて老婆心ながら思ったりする。そもそも、リスクマネジメントや品質保証って、「本当にコレで大丈夫か?」から始まるんじゃないんですかね。
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*1:今回は、「ハッピーセット」という、マクドナルドの登録商標の話であることから、コレをもじった内容が許容されるかどうか、ChatGPTに尋ねてみました。
以下がそのヤリトリです。結果的には、支障が無いと判断し本話となりました。
[筆者からの質問]
登録商標の言葉をエッセイなどの中で書くことは許されるか?
[ChatGPTの回答]
一般的に、登録商標の言葉をエッセイなどの文章に使用することは、法的に問題がない場合があります。ただし、その使用方法にはいくつかの条件があります。
・ 非商業利用: 登録商標をエッセイや他の文章に使用する場合、非商業的な目的であることが重要です。商業利用の場合は、権利者の許可が必要となることがあります。
・ 正確な使用: 登録商標を使用する際は、正確な形式で使用することが重要です。登録商標の正確な表記やスタイルに従う必要があります。
・ 誤解を招かない: 登録商標の使用が、権利者やその製品やサービスとの関連性を誤解させる可能性がないように注意する必要があります。
・ 批判や評論の文脈: 登録商標を使用する場合、批判や評論の文脈であることが多く、その場合は一般的に法的に保護されます。
・ フェアユース: 登録商標を使用する際には、フェアユースの原則に従うことが重要です。これは、知的財産権の所有者の権利を尊重しつつ、言論の自由や文化的な表現の権利を保護する原則です。
 

*2:マドナルドのハッピーセットのHP
https://www.mcdonalds.co.jp/family/happyset/

 

 

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