ドマさんの徒然なるままに【第2話】



第2話:オーディター・ラプソディ

映画「ボヘミアン・ラプソディ」が予想以上のヒットとなり、ゴールデン・グローブ作品賞を受賞しただけでなく、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックはゴールデン・グローブ男優賞とアカデミー主演男優賞を受賞という展開となった、ロックバンド“クイーン”の楽曲特集です*1。QAさんはオーディット対応ということで、相変わらず「QAはつらいよ*2 を地で行っているようですが、一方で、オーディターとしても、同じ薬業関係者であるにも拘らず、人情や妥協に流されることなく、仕事は仕事とキッチリ割り切ってやらざるを得ないといったジレンマがあるようです。それではスタート!

オーディター ・ラプソディ
オーディットに命を賭けた男の物語を歌ったものである。ただ、命を賭けても、いつも上手くいくとは限らない。大事な問題点を見逃すこともあれば、根拠が曖昧なまま感情的に大した問題でもないことをメジャーな指摘として相手を困らせてしまったり。相手の改善回答の中で適当に修復・調整することで、オーディターとして成長していく様をメロディに綴った名曲である。

ボーン ・トゥ・ チェック ・ユー
オーディットが天職だと信じ込んでいるオーディターの信条を歌ったものである。世のため、人のため、患者のためという信条、立派すぎて返す言葉がありません。が、受ける立場の気持ちを考えたことはあります? GMDPの運用のチェックとして手を抜けと言っている訳じゃありませんよ。そこはキッチリとやって下さって結構。ただ、受け手側の心情も理解してあげてくださいね。レギュレーションの規定であっても、運用するのはあくまで人間。納得して前向きにやってもらいたいと思うなら、頑張って改善しようという気持ちも与えてくださいな。

キラー ・オーディット
オーディットするには知識だけでなく技術が必要。さらに性格的なものも強く反映する。その能力についてウンヌン言うつもりも、ましてランク分けなどするつもりもないが、上手い/下手、良い/悪い、が何となく出てしまう。同様に、受ける側にも能力だけでなく素質が必要。別に戦いではないが、オーディット時の状況だけ見ると、あたかも戦いのように見えてしまうこともある。本来の目的としては、お互い「品質の維持・向上」ということで一致しているはずだが、ヒトとしての意地みたいなものも出てしまう。少なくとも、相手を蹴落としてダメにすることじゃないので、お互いカーッと熱くならずに冷静に患者さんの立場になって品質への影響度合いを考えましょうね。

アンダー・プレッシャー
オーディットは、行う側にしても、受ける側にしてもプレッシャーがかかる。プレッシャーのかからない者など居ない。何回やっていても嫌なもんです。何故なら、GMDP対応に上限がないからである。いくら一生懸命にSOPを整備し、教育訓練を施しても、また、施設や設備、さらに工程をバリデートしても、真の意味で毎日が同じ環境、同じ状態に維持できているとは限らない。ちょっとした変動やヒューマンエラーの発生の可能性は否定できない。大きさはいざ知らず、逸脱だって生じる。お互いが、そういう中でのオーディット対応となる。でも、そういう経験を通じて、個人も組織も成長するんじゃないのかなー。“フツー”はですけど・・・。

不安 のチャンピオン
一方で、どこの工場でも“問題児”は居る。記録や説明の内容以前に、GMDPを鼻から小バカにしたような態度。或いは、知ったかぶりの態度。これが内部だけの場合は良いが、オーディットといった外部者を相手にしている場合であれば、危険極まりない。オーディットにおいては、何を隠そう、「応対リスク」というものがある。この手の問題児は、その応対リスクの最たるもの、まさに“チャンピオン”と言える。GMDPの条項を暗唱できることが大事なんじゃないですよ。あくまで実務の中で品質リスクをどれだけ少なくしているかで決まりますからね。そこんとこ、ヨロシク。
ちなみに、オーディターの中にも、実のところは“問題児”が居たりする。当該会社としてどれだけ認識しているかは疑問であるが、問題児のオーディターからオーディットを受けた工場、ある意味、被害者と言えるかもしれない。読者の中に会社で認定されたオーディターの方が居られるのであれば、客観的に自分自身を見つめ直してみても良いかもしれません。

オーディット マスト・ゴー・オン
あまり融通の利かない、ちょっと頭の固いオーディターが、相手側の休憩タイムの申し出を無視し、自分のペースで相手様を翻弄する状況を歌ったものである。極めて少ない時間の中で、必要なチェックをしなければならないという立場や事態は理解できる。ただ、相手様にも都合はある。相手様の準備不足が明らかな場合は、それはそれで指摘してもいい。が、自分のやり方に問題があるのかもしれないという謙虚さも必要である。そうでないと、一人前のオーディターへの成長が望めないような気が・・。

ドント・ストップ・ミー・ナウ
そのタイトル通り、オーディターが暴走しだした様を歌ったものである。オーディターと言えど人間、ときには我慢が限界に達することもあれば、感情剥き出しとなる場合もある。GMDPの要件ウンヌン以前に、常識・良識を超えてのヒドイ有り様や実態を垣間見てしまえば、人間として許せないことがあるかもしれません。逆に、「これは、あんたの勝手な言い分かお好みにすぎないだろう!」と思える指摘をする方も居られますけどね・・・。お互い、GMDPの原点に戻って冷静に仕事することが肝心ですね。

指摘 という名の欲望
もろ生真面目なオーディター。持って生まれた性格もあって、非常に細かい点まで気になってしまう。しかも、単なる神経質では済まず、潔癖症でもあり、完璧主義。ある意味、最悪。通常であれば、推奨事項程度のレベルのものまで、ああだこうだという屁理屈をこねて、メジャーの指摘にしたがる。確かにGMDPの条項からすれば問題がないとは言わない。でも、品質リスクそのものとしてはさほど高いものではない。それでも自分の意図に合わない、その場での回答が気にくわないと、どんどんエスカレートしていく。もはや“押しつけ”とも思えるような指摘に。そんな欲望に駆られたような指摘をしちゃダメですよ。確かに、苛立たせるような回答をなされる相手様も居られますけどね・・・。お互い、大人の対応で行きましょ。

SHITEKI GA GA
オーディター、仕事熱心で夢中になるのは悪いことではないが、何でもそうであるように、度を越えてしまうと碌なことがない。品質リスクが極めて低いような事項まで、重箱の隅を突くような羽目に至ってしまわないしように注意しましょうね。
ちなみに、「ガガ(ga ga)」には、「夢中になる」とか「熱狂的な」とかいう意味があるとか。今回、本話を書くのに調査して初めて知った次第である。

改善 にすべてを
オーディター、無我夢中で仕事すればするほど、回りが見えなくなってしまう。指摘することが目的じゃありませんよ。あくまで品質リスクを気づかせ、改善を図って頂くことが目的のはず。そういう観点での指摘や推奨であれば、受ける側にも納得されるはず。あくまで「オーディット=改善≠指摘」ですから。そこんとこ、ヨロシク!

改善 へ道づれ
オーディットの原点に戻って、「改善」に努めましょう。こういう“道づれ”であれば、全てが丸くおさまるはずです。
ちなみに、元の日本語タイトルは「地獄へ道づれ」ですが、さすがに地獄は勘弁して欲しいよなー。

ウィ・ウィル・ロック・ユー
腕の良いオーディターともなると、ラップアップ時に、相手に指摘を何となく納得させてしまう説得力を有している。もちろん、背景にそれなりの理由があっての指摘ではあるが、上手に説明しなければ反発を喰らい、本来の目的である改善に進まない、或いは進みづらくさせてしまう。
ちなみに、動詞としての“rock”、「感動させる」という意味があるんですよね。

手をとりあって- Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
大事なことは、オーディットする側と受ける側の両者が納得すること。正直、筆者、「Win-Winの関係」は信じていない。長い目で見れば在り得ることではあるが、その場の瞬間や短期間では、どちらか一方が妥協しない限りは在り得ないことと思っている。まぁー、両者満足は無理だとしても、妥協(or 我慢)した上で納得はしないと、次がないですから。
クイーンも、わざわざ日本語で歌ってくれてるんだしさ。

さて、いかがでしたでしょうか。クイーン、筆者が大学生・社会人成りたて頃の20代真っ盛り時代のロックバンド。CMで聴いたことがあるとか、映画で初めて観たとかのレベルではなく、ヒットチャートを賑わしていた時代を現役で聴いておりました。筆者のお好みは、「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」。彼は、1991年11月24日に45歳という若さで亡くなってしまいましたが、今回の映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットを天国で喜んでいると思います。ご冥福をお祈り致します。

では、また。See you next time on the WEB.


【徒然後記】
映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、フレディ・マーキュリーの死後27年経って公開されたことになる。27年なんて、なんて先のことだと思える。少なくとも、若かりし頃はそう思っていた。しかも、つい最近までそう思っていた。心身共にバリバリな20代・30代の頃、10歳も年上の先輩やさらに年上の上司など、単なるオヤジとしか思っていなかった(すいません)。それが、自分が40代半ばを過ぎた頃から、定年のご挨拶を受け、一人減り、二人減りという状態になって行った。50代に入ってからは、定年退職した先輩・上司から「定年後のために趣味なり娯楽なりを持ってたほうがいいよ」とアドバイスを受けるようになった。でも、本質的にいい加減な筆者、「そんなことは定年間近になってから考える」として受け付けなかった。既に60代半ばとなった現在、先輩・上司のアドバイスを無視した結果、趣味も娯楽もなく、家内にも先立たれ、完全なクソジジイの独り暮らしとなってしまった。趣味や娯楽といった出費もないので金が貯まっているかと問われれば、資産も遺産もない。せめて子供や孫のために、少しでも遺産を残したいと思い、宝くじを買う。何億円だなんて夢は追わない。1000万円でいいからお願いと神に祈る。神は300円をプレゼントしてくれた(バラ10枚のセットだったら当たり前じゃー!)。

*1:原曲の日本語タイトル・原題・リリース年月日です。出典順です。
・ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)1975年10月31日
・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー(I Was Born To Love You)1985年4月8日
・キラー・クイーン(Killer Queen)1974年10月11日
・アンダー・プレッシャー (Under Pressure) 1981年10月26日
・伝説のチャンピオン(We Are the Champions)1977年10月7日
・ショウ・マスト・ゴー・オン(The Show Must Go On)1991年10月14日
・ドント・ストップ・ミー・ナウ(Don't Stop Me Now)1978年
・愛という名の欲望(Crazy Little Thing Called Love)1979年10月5日
・RADIO GA GA(Radio Ga Ga)1984年
・愛にすべてを(Somebody To Love)1976年11月12日
・地獄へ道づれ(Another One Bites the Dust)1980年8月22日
・ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)」1977年10月7日
・手をとりあって- Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」1977年5月25日

*2:PTJ ONLINEコラム「GMDPおじさんのつぶやき」の第38話「QPがやって
来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」及び第44話「安室ちゃんは引退してもQAに引退はない!?」を参照のこと。

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