新しいGMP教育訓練像を求めて【第4回】

"はじめに
 Off-JT(職場外訓練)は、OJT(On-the-job training;職場内訓練)と対比される用語である。企業での人材育成の主たるプログラムはOJTとなっており、GMP教育訓練でも例外ではない。Off-JTの位置づけは、OJTを補完させるというのが、各製薬工場での共通した姿である。Off-JTは座学という形式で対象者を集合的に教育する形態が多いので、Off-JTを集合教育と呼ぶ事例も見られる。Off-JTには外部研修という形で、企業外の組織に教育を委託するプログラムもある。しかし、この連載では製薬工場内でのGMP教育訓練を前提としているので、ここでのOff-JTは「医薬品GMPに関しての、工場内での座学形式の集合“教育”」について話を進めたい。
 またOff-JTの実施方式は、各企業のGMPの状況によって、その実施方法や運営面で大きく異なるであろう。各企業特有の品質を重んじる文化や、従業員の品質への士気によって、その具体的な対応を最適化することが必要である。記載内容とこの点のミスマッチは、本連載を行うにあたり設定した趣旨や対象読者層の制約によることを、ご理解頂きたい。
 一方で、受講者がGMP教育に望むことと、教育訓練者の思いの「行き違い」については、次回以降で取り上げたいと考える。
 
1.OJTOff-JTの特性の比較
 GMP教育訓練でのOJTとOff-JTは例えてみれば、オートバイの車輪のような関係にある。駆動輪である後輪がOJTであり、方向性を定める前輪がOff-JTとみることもできる。したがって、まずは学ぶ必要がある内容について、off-JTで知識を得、次にOJTとして、先輩(熟練担当者)から技術指導を受けることが教育訓練の目指すところである。両者の細かな点の特徴は、を参照されたい。
 また、OJTは優れた訓練方法であるが、企業が教育コストの圧縮の手段としてOJTを用いるのであれば、そのしわ寄せが訓練担当者に及ぶことは、当然の帰結といえる。また、OJTの成否は偏に訓練者の技術的能力(体系的知識、)経験と性格に左右されるので、真に適切といえるOJT訓練者はかなり少ないであろう。このOJT訓練者不足の問題解決は、そのGMP各部門の所属部課長のもつリソース(資源)を超えて、人事(人材育成)部門が主導すべき課題であると考えられる。
 しかしOff-JTは、依然として「座学・演壇よりの講義」方式の「受動的な教育」(講義による知識伝達)が主流となっており、その教育の効果に疑問符がつく場合も多い。教育訓練の効果を上げるには、受講者がその教育内容に興味をもち、積極的に取り組むことが不可欠の要素といえる。
 この問題は広く認識されているが、例えば、少人数のワークグループを基本としたアクティブラーニング方式による「能動的な学習」形態に移行するには、時間的費用的制約が大きく、それが工場のGMP教育訓練に取り込まれる実施にはまだ時間を要するであろう。このあたりに、現在の製薬工場のGMP教育訓練をOff-JTで行う上での限界がある。
 なお、OJT及びOff-JTの何れの場合も、今後は訓練者の適格性評価の基準を明確にして、それを実行することが必要となる。
 

表1 製薬工場でのGMP教育訓練におけるOJTとOff-JTの特徴の比較(現状)
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