医薬品の技術移転のポイント【第21回】

軽微変更と一部変更申請の判断

1.記載方法で軽微と一部変更申請を明確にしている
 一部変更申請事項を軽微に軽微を一部変更申請にしていることもあります。

2.軽微を一部変更申請にしている場合
 当局と相談して軽微で変更できる場合もあります
 例えば、一部変更申請にしていることで逸脱が発生すると逸脱で処理して出荷することはできません。
 どうしても出荷したい場合は、品質に問題ないことならびにバリデーションデータを添えて、その項目は本来軽微変更届けでしたとのことを審査管理課に納得してもらい、軽微変更届けで一部変更申請事項を変更後に出荷することができます。

3.一部変更申請を軽微にしている場合
 書類上は問題ないですが、それがレギュレーションなどに影響する場合は問題となる場合があります。まさに当局が後出しジャンケンで判断するからです。
 ある製販が勘違いして有効期間を軽微変更で届けました。後日の調査でそれが判明して製品回収になりました。確かに審査していないのですが、受け取る時に「それは軽微変更ではなく一部変更申請です」という優しさを欲しいなと思いました。
 前に郵便局の窓口に手紙を出して受け取りました。翌日「料金不足」で我が家の郵便Boxにその手紙が「料金不足」と押印され戻されていました。そこで抗議の電話をしました。「受け取ったということは、確認したことです。郵便局の窓口の対応不備ではないですか? 百歩譲って、せめて『申し訳ございません。窓口の確認不備で料金不足でした。申し訳ございませんが不足分をご負担いただけませんか』というのが礼儀ではないですか」と話したところ、謝罪されました。ところが軽微変更届は受け取ってもそれは確認したことになりません。このことをよく理解して対応することが求められています。

一部変更申請判断に迷った時の対応
 明らかな時は、企業の判断で問題がないです。もちろん、そのための知識を持つことと、他社の失敗事例から常に学んだり、当局の説明をフォローしておくことが判断ミスを少しでも少なくする方法になります。
 そして迷った場合は、当局相談を行うことです。都道府県によっても判断が異なるか場合があります。

相談した事例
 全面委託をすることにしました。技術移管の責任者が「今回の変更は軽微変更内の変更である」との説明をしてきました。よく見ると確かに製造設備の原理が同じであるが、しかしタイプが違うので、当局が同じ設備と判断してもらえるかどうかグレーでした。そのグレーも一部変更申請に近いグレーと判断しました。後で当局が一部変更申請と判断すると、「軽微変更届は取り消され、製品回収、処罰などが行われることがある」と事務連絡で記載しています。
 県に移管されていましたので、委託先から県に「企業としては同じと考えたが、念のために確認させてください」と相談して欲しいとお願いしました。そしてこちらの担当者も同席させてもらって県に確認したところ「一部変更申請を行うように」との判断になりました。

 先ほどの回収事例はまさに判断ミスが引き起こした製品回収になります。それほど、この制度は判断が難しいということです。それを知った上で適切に対応することが求められています。

製造プロセス、製造装置が同じかどうかの判断と軽微変更と一部変更申請の判断

1.過去2年以内に該当する工程/設備でGMP適合性調査を受けている&変更は軽微範囲内
 ⇒製造所追加が軽微変更でできる

2.過去2年以内に該当する工程/設備でGMP適合を受けていない&変更は軽微範囲内
 ⇒迅速一部変更申請が行えるが、当局が迅速一部変更申請を認めてくれないと、通常一部変更申請になり変更に一年を要し、在庫が変わり欠品にリスクが生じる可能性があります。そこで、別の委託する品目と同じ工程を持つ、委託先企業の品目でGMP適合性調査を受けてもらうと1の軽微変更届で行うことができます。

 移管後に品質トラブルをできるだけ発生させないために、事前に十分な品質とレギュレーションの対応をおこなうことに尽きます。

 

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