ゼロから学ぶGMP【第15回】
5-13 第16条 品質等に関する情報及び品質不良等の処理
条文第1項の概要は「製造業者等は、製品に係る品質等に関する情報を得たときは、その品質情報に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。」となっており、それに続く1号から3号には以下の通り記されています。
1) 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し
改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。
2) 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を
作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により速やかに報告
すること。
3) 前号の報告により、品質部門の確認を受けること。
上記の「原因究明の結果及び改善措置を記載した記録」については施行通知に記載がありますので、それを参照してください。
製品の品質不良に関する情報は、ほとんどが市場からの情報ですが、時に当局が実施する収去検査からの情報もあります。いずれもその多くが製販業者を通じてもたらされるので、製販業者との連携が大切です。特に回収に結び付くような品質不良であれば、その主体は製販業者ですので、製販業者と製造業者が同一法人でない場合はその連携は特に重要です。このことは製販業者の品質管理に関する決まりを定めたGQP省令の第11条に記載されています。その概略を以下に示します。
1) 当該品質情報に係る原因を究明すること。
(原因究明には製造所の関与、協力がなくてはなりません。筆者注)
2) 上記の原因の究明の結果に基づき、品質管理業務(製販業者における
業務、筆者注)又は製造業者等における製造管理及び品質管理に関し
改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
3) 前記の究明又は改善措置のために、製造業者等に対し指示が必要な場合
には、その指示を文書により行うとともに、製造業者等に対し文書に
よる 結果の報告を求め、それを適正に評価し、必要に応じてその製造所
等の改善状況について実地に確認し、その結果に関する記録を作成する
こと。
以上のようにGQP省令では市場に対するすべての責任を持つ製販業者の立場から、製造業者との連携の必要性について述べています。
GMP省令の記載では製造業者の責務は、製造所に起因するものだけに限られています。何が製造所起因で、何が製造所起因でないかについては判断に迷うことがありますが、ここでは明らかに製造所に起因する品質不良について述べてみたいと思います。典型的な品質不良の具体例は医薬品機構(PMDA)の回収情報からも見ることができますが、品質不良の例として一番多く接するのが「異物の混入」であろうと思われます。製造環境に由来する塵埃の混入、使用機器由来や作業員由来の異物が製品に混入してしまうケースは多く経験するものです。それぞれの異物について、それが何であるかを分析し、まず健康に与える影響について検討することが必要です。万が一健康に与える恐れがある場合には、製販業者と協議のうえ回収等の適切な処理をとらなければなりません。それ以外については、混入経路を明らかにし、必要ならば是正・予防措置を行うこととなります。このとき問題となるのは、どの工程で異物が混入したかによりますが、品質情報が寄せられたロットに留まるのか、あるいは製造時期が近いロットにまで広がりがあるのか、更には他の類似製品にまで及ぶ可能性についても判断しなければならず、このことは容易ではありません。また、施行通知に記載されているように資材(包装材料等)についても製品に係る品質情報として処理する必要があります。
極端な例としては異種錠剤の混入などというものもあります。このことは通常のGMP製造においては考えにくいことですが、ジェネリック医薬品で複数社から同一処方製剤(錠剤)で刻印のみが異なる製品を受託している製造所において時々見られる品質不良です。このようなことが発生しないように従業員の教育に加えて、製造時期が近くならないような生産計画を組むことが大切であろうと思われます。
条文第1項の概要は「製造業者等は、製品に係る品質等に関する情報を得たときは、その品質情報に係る事項が当該製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。」となっており、それに続く1号から3号には以下の通り記されています。
1) 当該品質情報に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し
改善が必要な場合においては、所要の措置を採ること。
2) 当該品質情報の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を
作成し、保管するとともに、品質部門に対して文書により速やかに報告
すること。
3) 前号の報告により、品質部門の確認を受けること。
上記の「原因究明の結果及び改善措置を記載した記録」については施行通知に記載がありますので、それを参照してください。
製品の品質不良に関する情報は、ほとんどが市場からの情報ですが、時に当局が実施する収去検査からの情報もあります。いずれもその多くが製販業者を通じてもたらされるので、製販業者との連携が大切です。特に回収に結び付くような品質不良であれば、その主体は製販業者ですので、製販業者と製造業者が同一法人でない場合はその連携は特に重要です。このことは製販業者の品質管理に関する決まりを定めたGQP省令の第11条に記載されています。その概略を以下に示します。
1) 当該品質情報に係る原因を究明すること。
(原因究明には製造所の関与、協力がなくてはなりません。筆者注)
2) 上記の原因の究明の結果に基づき、品質管理業務(製販業者における
業務、筆者注)又は製造業者等における製造管理及び品質管理に関し
改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
3) 前記の究明又は改善措置のために、製造業者等に対し指示が必要な場合
には、その指示を文書により行うとともに、製造業者等に対し文書に
よる 結果の報告を求め、それを適正に評価し、必要に応じてその製造所
等の改善状況について実地に確認し、その結果に関する記録を作成する
こと。
以上のようにGQP省令では市場に対するすべての責任を持つ製販業者の立場から、製造業者との連携の必要性について述べています。
GMP省令の記載では製造業者の責務は、製造所に起因するものだけに限られています。何が製造所起因で、何が製造所起因でないかについては判断に迷うことがありますが、ここでは明らかに製造所に起因する品質不良について述べてみたいと思います。典型的な品質不良の具体例は医薬品機構(PMDA)の回収情報からも見ることができますが、品質不良の例として一番多く接するのが「異物の混入」であろうと思われます。製造環境に由来する塵埃の混入、使用機器由来や作業員由来の異物が製品に混入してしまうケースは多く経験するものです。それぞれの異物について、それが何であるかを分析し、まず健康に与える影響について検討することが必要です。万が一健康に与える恐れがある場合には、製販業者と協議のうえ回収等の適切な処理をとらなければなりません。それ以外については、混入経路を明らかにし、必要ならば是正・予防措置を行うこととなります。このとき問題となるのは、どの工程で異物が混入したかによりますが、品質情報が寄せられたロットに留まるのか、あるいは製造時期が近いロットにまで広がりがあるのか、更には他の類似製品にまで及ぶ可能性についても判断しなければならず、このことは容易ではありません。また、施行通知に記載されているように資材(包装材料等)についても製品に係る品質情報として処理する必要があります。
極端な例としては異種錠剤の混入などというものもあります。このことは通常のGMP製造においては考えにくいことですが、ジェネリック医薬品で複数社から同一処方製剤(錠剤)で刻印のみが異なる製品を受託している製造所において時々見られる品質不良です。このようなことが発生しないように従業員の教育に加えて、製造時期が近くならないような生産計画を組むことが大切であろうと思われます。
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