ゼロから学ぶGMP【第2回】

2016/02/04 品質システム

2. 医薬品医療機器等法(旧薬事法)、GQP省令とGMP省令
 2-1 GMP省令の位置づけ
 「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(GMP省令)は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧薬事法、2014年改正、略称:医薬品医療機器等法)の下位概念である「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」(GQP省令)の下に位置づけられます。(図1)
 


図1 GMP省令の位置づけ
 

 まず初めに、これらの法律や省令の目的や、そのカバーする範囲について述べておきたいと思います。
 

 1) 「医薬品医療機器等法」は、これから説明する医薬品等に関する省令の基本となる法律で、その第1条に目的が記載されています。それは「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。) の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。」とあるように、医薬品等に係る基本的な規制を目的としており、これから述べていく、GQP省令やGMP省令の基本となる上位概念です。

 

 2) 「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令」、これがGQP省令と呼ばれるもので、2005年の旧薬事法の改正に伴い、製造販売後の安全管理に関する省令(GVP省令)とともに、製造販売承認保有者の遵守すべき事項に関して制定された省令です。この時の旧薬事法の改正の大きなポイントは医薬品の承認に関して、それまでの「製造承認制度」から「製造販売承認制度」に変更となった点です。すなわち医薬品に携わる企業等は、改正前は医薬品を製造することに対して承認を受けており、有効成分たる原薬と実際の医療現場で投薬される製剤、それぞれ別々に承認が与えられていましたが、この改正後は「原薬の承認」という概念はなくなり、製剤の製造販売承認に一本化されました。この時の改正がGMPにも大きな影響をもたらしました。

 

 3) 「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」これがGMP省令と呼ばれるもので、先に述べた旧薬事法の2005年の改正に伴い大幅に改正されたもので、医薬品の製造業者が遵守すべき事項について述べられています。GMPを理解するためにはその上位概念である医薬品医療機器等法及びGQP省令を理解しておく必要がありますので、これらの説明から進めたいと思います。
 また、これとは別に2014年の医薬品医療機器等法の改正に伴い、GMP省令と横並びの形で、「再生医療製品の製造管理及び品質管理の基準」(GCTP省令)が2014年に公布されましたが、これについては本稿では特に触れません。

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執筆者について

上田 泰生

経歴 1974年ミドリ十字入社、中央研究所配属。製剤研究部長、中央研究所業務部長を歴任。旧吉富製薬と合併後、信頼性保証部長としてGXP全般の監査を担当。その後2回の合併(三菱ウェルファーマ、田辺三菱製薬)を経る中で薬事監査部、品質保証部、薬制管理部を経験。2008年ニプロファーマ入社、本社品質保証部、城北工場品質保証部長を歴任。2013年退社。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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