ドマさんの徒然なるままに【第42話】お宅にはこんな人いませんか?/責任者・管理者編
第42話:お宅にはこんな人いませんか?/責任者・管理者編
第35話「お宅にはこんな人いませんか?/製造部門編」の中の「自分の不手際を責任者や管理者のせいにする奴」の項で予告のように書いてしまった*1こともあり、今回は、もろ「責任者・管理者編」として取り上げました。
自慢にも何にもなりませんが、事実として、筆者、転職を繰り返し複数の会社を経験しています。内資系・外資系の製造販売業者のみならず、受託製造業者、さらには医薬品専業を超えて物流会社まで。また導入導出や共同開発と称して国内外の会社様と会議を持ったり、委託先・委託候補先・供給先監査と称して相当数の会社様を訪問させていただいていたりしています。会社様によって、会社全体の雰囲気のみならず職員の雰囲気も違います。特に、その違いは責任者や管理者といった肩書を背負った、ある程度上の立場の方に顕著に表れます。
どの会社がどうのとか、誰がとかは別として、「おい、こいつ!」と思う方、読者の皆様方からしても、「あー、そういうことってあるある!」、「そういう奴っているいる!」といった感じの方っておられますよね。他意も悪意もありませんが、身近に“こんな奴”がいたりしませんかねー、まして責任者・管理者の立場であれば、マジに困ったちゃんですよねー、という方々です。読者の中で責任者や管理者の方にあっては、「コレッて俺のことじゃね!?」と感じるものがあれば、要注意だと肝に銘じていただき、アドバイスのつもりで捉えていただければ有り難いと思います。
また、言い訳っぽいですが、前41話「教育訓練・後編」で上級経営陣への教育訓練を取りあげたこともあり、何となく「お宅にはこんな上級経営陣っていませんか?」みたいになってしまった感がありますが、そこまで深読みしないでいただければと思います(と言いつつ、実はそれを期待してたり・・・)。
なお、本編の内容、過去に自身が責任者・管理者の立場にあったことによる自戒の念を込めて書いております*2、その点をご理解いただき、ご容赦願えれば幸甚です。
● 何事にも斜に構えて直視しない奴
【背景】
ずばり、重篤と言える逸脱が発生しても、場合によっては回収が発生しても現実を直視せず、自身の立場も他人事の感覚でいる奴のことです。
【問題点】
すべてに対して、「良きに計らえ!」といった回答でしかなく、部下や実務担当者を「こんなんで大丈夫か!?」と不安に陥れてしまうこと。さらには、曖昧なことしか言わない(言えない)ために対応が遅れ、致命傷を負わせてしまうことです。
【個人的な解釈と意見】
困ったことに、ほぼ必ずと言ってよいほど、どこの会社にも居ます。当たり前の帰結となりますが、立場が上であるほど問題は大きくなります。最悪の場合、これがビジネス上の工場長であったり、社長を含む上級経営陣であったりすることがあると言うことでしょうか。じゃー、どうするかって? 貴方から見て、相手がどうにかなるような立場でないのであれば、貴方が転職するしかないんじゃないでしょうか!?
● 何かにつけて「うちのポリシーだ」と言いたがる奴・Part 2*3
【背景】
第29話「お宅にはこんな人いませんか?/QA編」の中にも登場したこの手の輩、責任者や管理者に限らず多いのですが、責任者や管理者であると、その立場から問題を大きくしてしまうということがあります。
【問題点】
本当に自社・自部署のポリシーが明確に規定されており、明文化されている場合はOKですが、「そんなもの見たことないけど?」とか「そんなのあった?」とかいう場合は論外なんじゃないでしょうか。まして、昨年公布・施行された改正GMP省令の要件となった「品質方針」とそれに基づいた「品質目標」との兼ね合いもあり、コンプライアンスの観点からも混乱を招く可能性があります。
【個人的な解釈と意見】
「品質方針なんてありましたっけ?」と尋ねてみては、いかがでしょうか。大方の場合は、その存在の有無も知らずに行きがかりで言っているか、内容までは言えないと想像します。が、もし明確に言えてしまった場合は、貴方の負けです。素直に謝罪し、勉強し直しましょう。
● 「うちは大丈夫だよな」と同意(Yesの答え)を求める奴・Part 2*3
【背景】
これまた再登場となりますが、会議の席上などで、「うちは大丈夫だよな」と同意を求めてくる責任者や管理者のことです。コレッて、よーく考えてみてください。そもそも、自分で状況を把握しているのであれば、尋ねませんよね?
【問題点】
間違いなく状況を把握していません。把握できていないこと自体も問題なのですが、より問題なのは、自身の立場にプラスなのかマイナスなのかによって態度を変えることが多いことです(ほとんどの場合、悪いほうに変えます)。
【個人的な解釈と意見】
個人的には嫌いなタイプですが、世渡りだけは人一倍上手で、上手く行った成果は自分の手柄、不始末は他人(部下・実務担当者)のせいにすることが多いと言えます。そのため、マイナスとなる事項については貴方にお鉢が回ってくる可能性が高いので要注意です。もし尋ねられたら、「責任者(管理者)として把握しておられますよね? 私は状況に基づいて指示を受ける立場ですので、何とも言いかねます。」とキッパリ言いましょう。ただ、後日に貴方に降りかかる災難等については一切責任を負いかねますので、悪しからず。
● 口癖のように「リスク云々」を言いたがる奴
【背景】
何かにつけて「うちのポリシーだ」と言いたがる奴と同様のパターンで、何かにつけて「それはリスクだねー。」とか、「それって●●にリスクがあるのでは?」とか、あたかも自分は分かっているというフリでうんちくを言いたがる奴のことです。
【問題点】
大方の場合、そいつ自身が知っていることは言葉だけで、実際の運用としてのリスクマネジメントを知っていることはありません。自分主導で行うことが無いということを前提に格好つけているだけと思ってよいでしょう。
【個人的な解釈と意見】
「●●さん、それでは、この件のリスクマネジメントを主導していただけませんか?」と切り出してみては、いかがでしょうか。たぶん、何だかんだ言って、逃れることを言い出すとは思いますが、ちょっとでも“あたふた”した姿が見れれば、それはそれで「やっぱりな。ざまーみろ!」と、ちょっとは我慢できませんか? その程度のことでも、何となくスッキリ感が味わえません? 筆者、性格悪いんで、結構この手の対応をしていたりします。ただ、こんなことをしていると、間違いなく嫌われます(場合によっては干されます)ので、その点は了解して実行してくださいね。
● 知ったかぶりして“トレンディーな用語”を使いたがる奴
【背景】
前項の「リスクマネジメント」もそうですが、何かにつけて、「Quality Culture」とか「Quality Metrics」だとかといったトレンディーな用語を使いたがる奴のことです。
【問題点】
率直に言って、用語を知っているというだけで意味は理解できていません。単に知ったかぶりしたいだけで、「私は君と違って色々と勉強してるからねー。」とマウントしたいだけです。
【個人的な解釈と意見】
前項同様に、「すいません。勉強不足でおっしゃった言葉の意味が分かりません。どういう意味ですか?」と尋ねましょう。せいぜい、「そりゃ、こういう意味だよ。」とネットのどこかに書いてあるような定義っぽい言葉だけで終わるでしょう(「えっ!」とどぎまぎするようであれば最悪です)。そしたら、次いで「それは具体的には、我々(当社・当部署)としては、どのように何をすれば良いのでしょうか?」と確認しましょう。大方は、「それを考えるのが君の仕事じゃないか、勉強しろよ!」ってな調子で逃げるんじゃないでしょうか。
過去にもこの手の状況に何度か遭遇しておりますが、ほとんどの場合、用語の真の意味や目的は理解しておらず、格好つけて言っているだけです。もし本当に理解した上で、それを自社・自部署に活用しようと考えているのであれば、「●●について、こんな形で少しずつやっていきたいと思うけど、君はどう思う?」といった具体的な形で相談して来るはずです。
● 教育訓練不足だとか強化するのだと言いながら、絶対に自分が講師にはならない奴
【背景】
何か不備があると口癖のように「これは教育訓練が足らないからだ。」とか、「これは教育訓練を強化する必要があるな。」と言いつつ、(自身が教育訓練責任者でない場合は)教育訓練責任者に振るだけで、自分では決してトレーナーとして動かない奴のことです。
【問題点】
教育訓練責任者自身に問題がある場合もありますが、教育訓練の内容によっては、他者に振るだけでは済まされず、該当する業務の責任者あるいは管理者として自らが動く必要がある場合もあるはずです。
《注》教育訓練責任者自らがトレーナーとしてすべてを実施しなければならないと思い込んでいる会社様を見かけることがあります。ハッキリ言います。製造や分析の技術的なことまで出来る訳ないでしょ。あくまで、教育訓練責任者の役割は、年間計画・報告・適材適所の資格要件といった教育訓練の管理に対する責任です。
【個人的な解釈と意見】
この手の輩、口だけで手を汚さないタイプです。ご本人、自分では「分かってる、分かってる。」と言いつつ、実は何も分かっていないことが多いです。要は、「しない」のではなく、「できない」と言ったほうが正しいでしょう。筆者の知る限り、この手の輩、結構多いので、ぜひ講師を務めさせてみてください。本人のレベルを自覚させることが、組織としてのレベルアップの近道ですし、Quality Cultureのベースだと思います。ちなみに、言わずもがなですが、受ける側と教える側とでは、段違いのレベルが求められます。
● 自分の肩書をひけらかすくせに責任や管理という意味を理解していない奴
【背景】
ずばり、「無責任」とか「管理能力なし」という言葉がぴったりの奴のことです。
【問題点】
この手の責任者・管理者、プライドだけは人一倍高く、マウントすることを生きがいとして自己満足で生きています。しかし、一方で自身・自部署の業務内容を理解していない(認識さえしていない可能性すらあり)ため、周囲の人間はただひたすら困ったちゃん状態にさせられることです。
【個人的な解釈と意見】
この手の輩、自身では気づいていないと思いますが、学歴偏重や偏差値による出身大学といった差別意識が根底にあるかもしれません。本人にとって重要なことは、実質的な能力ではなく、あくまで表面的に見えるものなのでしょう。相手するだけ時間の無駄ですね。大事なことは、貴方自身がこの手の輩にならないようにすることだと思います。
● うちはMinimum Requirementでいいからと言う奴
【背景】
改善・向上のためのリソース配分や投資をお願いすると、必ず「うちは法的違反にさえならなきゃいい。Minimum Requirementでいいから。」と平然と言う奴のことです。
【問題点】
GMPの責任者や管理者と言うよりは、むしろ会社経営者に多いパターンです。あくまで大事なもの、優先すべきは利益というパターンでしょうか。
【個人的な解釈と意見】
こういう会社に改善や向上は期待できません。何か問題等が発生すると、表向きの組織改編やメンバーチェンジはしますが、あくまで行政や業界、さらにはマスコミ等へのアピールが目的で、リソース投資もその分だけで、実態としての改善等の中身は???です。そもそも、この手の会社、社長を筆頭に自分に問題があるかもしれないという発想は皆無でしょう。常識的に考えても、それじゃ治るはずありませんよね。
ちなみに、コンサルタンテーションやセミナー講師を務めていることもあってか、この言葉、実際に何度か聞いたことがあるという現実が恐い。しかも、率直に言って、当発現の会社様、その時点でお世辞にもフルと言えず、むしろ明らかに不十分で「お宅、ヤバイですよ!」と言わざるを得ない状態であったので尚更である。
GMDPのプロとして言います。Minimum Requirementって聞こえは良いですが、フルに実行できる者(or 実行している者)だからこそミニマムが分かるのであって、フルを理解しようともせず、また実施したことも無い者が、何をもってMinimum Requirementだと言っているのでしょうか。その時点でアウトだと思うのですが・・・。
いかがでしたでしょうか。「うちにもいるわー!」と思うのであれば、マジに大問題と言わざるを得ません。被害者の立場にある読者の方へは、「お気の毒に!?」という言葉をお贈りします。どう対処するかはご自身で悩んでください。加害者の立場にある読者の方へは、「俺のことかもしれない!?」と少しでも早くお気づきになっていただきたいものです(が、俺のことじゃないと思っての結果が現在でしょうから、たぶん無理でしょうねー)*4。これこそが本当の「自己点検」なんじゃね、とは思うのですが・・・*5。
責任者や管理者、大方はビジネス上の上司であったり管理職であったり、少なくとも力関係としては上の立場でありますので、マジ困ったちゃんですよねー。異動や退職を期待したところですが、居心地が良いこともあっての現在の立場でしょうから厄介ですね。でも、悪い力が蔓延ることだけは避けたいですよねー。
えっ、何か良い対策法は無いかって? あるくらいならば、既にどうにかなってるんじゃないですか? 無いが故に行政も困ってるという状況が垣間見えません? 「コンプライアンス」なんて言葉で何気なく、さり気なく伝えてるじゃないですかー。そのくらい分かってあげてくださいな。正直言って、患者様に影響を及ぼさない社内の範囲であれば、筆者からすれば他人事でしかありませんので、ご自身で対処法はご検討ください。冒頭でも言ったでしょ。「他意も悪意もありません」ってね。だから、対処法もありません。
しかし、一方ではGMP・GQP・GDP等を超えて、会社の上司(管理職?)という捉え方でお読みいただくと、「これ、どうみても俺の上司だわ!?」と実感として受け止め易いかもしれません(実はそのつもりで書いてたりして・・・)。と言うことで、次話では、ずばり「お宅にはこんな人いませんか?/上司・管理職編」として、マジ困ったちゃんを多数登場させたいと思います。
では、また。See you next time on the WEB.
【徒然後記】
ディスクオリファイド店員(店員失格)
第41話「教育訓練・後編」の徒然後記「クオリファイド店員」では、コンビニ店員について述べた。今回は、クリーニング屋さんの「こんな店員っているんだ!?」と思ってしまった話である。
クリーニング屋さん、皆さんご存知か否かは計り知れないが、高級ブランド品を扱ってくれる店は結構限定される。ある日、アルマーニのジャケット(先だった家内の好みです、すいません)をクリーニングするために、ブランド品も取り扱ってくれる某大手チェーン店に行った。店に入った瞬間に驚いた。その店員、20代と思しき男性で、率直に言って、新宿歌舞伎町のキャッチバーの客引きみたいでクリーニング屋さんに全く相応しくない雰囲気であった。偏見では無く事実として、クリーニング屋さんの店員って、30代半ば以上の女性の方が圧倒的に多く、若い男性というのは初めてであった。
私「これ、ハイクラスでお願いします。」
店員「これ、ブランド品なので、(それ読めと言わんばかりに)そこに書いてあるように何かあっても補償効きませんが、いいですか。」
そこには「高級ブランド品の場合、万が一の損傷が生じた場合の補償はご容赦願います。」との表示があった。
私「弁償については了解しますが、謝罪もないんですか?」
店員「そこに書いてあるでしょ。なんで謝罪しなきゃならないの!」
私「いや、弁償と謝罪は別でしょ。普通、「申し訳ありませんでした。」くらい言うんじゃないですか。」
店員「わかんない奴だな。そこに書いてある通りだよ、なんで謝らなきゃならないんだよ。」
私「別にあんたに洗濯頼んでいる訳じゃないよ。お宅の会社に頼んでいるだけだし、確認しているだけだよ。あんた、客に対する態度じゃないよ!」
店員「帰れよ!」
正直、呆れ返ったが、他を探すのも面倒なので頼んで帰った。
後日、引き取りに行った際も、また別件で行った際にも、彼はいなかった。想像するに、他の客にも同様の応対で、結局クビになったものと想像する。店内には、クレイマー対応もあって監視モニターも付いているであろうし、実際にクレームがあれば本社筋で確認が入るはずである。
「お客様は神様です。」として特別扱いする必要はないが、常識的な応対は必要であろう。クリーニング屋さんのバイト店員の話ではあるが、医薬品であっても、直接/間接を問わず、場合によってはモンスタークレイマーもいるが、それでも常識的・良識的な応対は必要と思う次第である。
彼のような者でも雇用時には“trained”されていたものと推測するが、“disqualified”という残念な結果と言うべきかもしれない。製薬企業にあっては、取り扱う物が生命に関わる医薬品である。あくまで“qualified”されていなければならないと肝に銘じたい。
--------------------------------------------------------------------------------------
(筆者)少しはそのつもりではいたけど、製造部門編の人気が今一つということも考えられたからね。さすがにキッパリ言うのは気が引けるじゃない。
(天の声)お前に「気が引ける」なんて、人間らしい気持ちがあるとはなー。
(筆者)うるさいやっちゃなー! その言葉、あんたにそっくり返すよ。
(天の声)おい、お前! 神様に向かって「あんた」呼ばわりはないじゃろうが。
(筆者)最高に丁寧に言っても、「あんた」レベルだろーが。
(天の声)天罰じゃー!
(筆者)ギャーーー!
(筆者)あるよ、失礼な!
(天の声)お前、生まれてこのかた、自戒だとか反省だとか、したことないじゃろうに。
(筆者)何ちゅーこと言うんだよ! 自戒と反省の塊だわ。
(天の声)ほっ、ほっ、ほー。新型コロナウイルスのせいで、世の中の定義が変わったんかなー。それとも、元々おかしいお前の頭がとうとう狂ったか!?
(筆者)ホントの神に代わって天誅じゃー!
(天の声)ギャーーー!
(天の声)おっ、お前にしちゃ、結構マトモなこと言っているの―。ワシも天誅を下したいんじゃが、この手の輩の力、思いのほか強いんじゃよ!
(筆者)あんた、マジ役に立たないやっちゃなー。
(天の声)取り合えず、お前に天誅!
(筆者)ギャーーー!
コメント
/
/
/
コメント