ドマさんの徒然なるままに【第35話】お宅にはこんな人いませんか?/製造部門編
第35話:お宅にはこんな人いませんか?/製造部門編
どこの会社がどうのとか、誰がとかは別として、「おい、こいつ!」と思う方がいたりします。読者の皆様方からしても、「あー、そういうことってあるある!」、「そういう奴っているいる!」といった感じの方々です。前回、第29話「お宅にはこんな人いませんか?/QA編」としてお伝えしましたが、今回は原薬・製剤を問わず製造部門という部署や業務を通じて感じた、そんな人たちをピックアップしてみました。
なお、誤解無きよう予め言っておきますが、他意も悪意もありません。あくまで、身近に“こんな奴”がいたりしませんかねー、いたら困ったちゃんですねー、というだけのことです。悪しからず、ご了承ください。
● はなからGMPを否定している奴
【背景】
GMPのメインとも言える製造担当のはずなのですが、「俺はGMPなんて信じていないからね。」とか、「理屈で良い製品が造れるとでも思ってんのかよ、ばっかじゃねーの!?」ってなことを平然と口にしている奴です*1,*2。
【問題点】
問題児であることは歴然としているのですが、こいつが主任だとかチーフだとか、作業の中心人物であることが多く、その影響力が強いために周囲に悪影響を及ぼす可能性が高いことです。
【個人的な解釈と意見】
この手の輩は、昔気質の職人タイプと言え、ボス的な存在として仕事に対しては責任感が強くキチンとやっていることが多いように思います。そのため当該者の性格により2つに分けられるように思えます。
①おだてに弱い場合
仕事はきっちりとやっていることが前提ですが、「●●君はさすがだねー。GMPなんかクソくらえとか言っているわりに、やることは人一倍だねー。」とか、「GMPを理論ではなく実践で示す●●君。君ならではの後輩指導かな? まさにpracticeの鏡だねー。」といった具合で、褒め倒してみるのは、いかかでしょうか。
②頑固で更生が無理としか思えない場合
外せるのであれば外しましょう。でも、ある意味、作業的には外せないキーパソンであったことからの結果としてこんな状況を招いだとも言えなくありません。一方で、教育訓練でどうにか更生しうるとも思えません。ならば、GMPとしての教育訓練よりは、仕事の内容で攻めることのほうが効果的なような気がします。それを逆手に利用し、もしミスを犯したら(重い罰として)異動させることが可能な状況に持って行く(日本では労働組合もあって理由なくクビには出来ないはずなので、時間をかけて意識下に植え付けていく)のは、いかがでしょうか。姑息なやり方ですが、この手の輩は、いくら教育訓練を施したところで、時間と労力の無駄なように思います。まぁー、筆者にとっては他人事ですから、自社で悩んでください。
● 自分の不手際をSOPのせいにする奴
【背景】
自身の不手際(作業ミスであり、場合によっては逸脱でもあります)を「これはSOPの記述が悪い。」とか「これはSOPの不備だ。」とか、なんくせつけてSOPのせいにする奴のことです。
【問題点】
複数の作業者から同様のミスが多発する場合は、確かにSOPに問題ありと考えられますが、特定の一人と言うことであれば、そいつの問題と考えるのが妥当でしょう。
【個人的な解釈と意見】
たった一人のためにSOPを改訂などしたら、場合によっては、逆にエラーが多発する可能性すら在り得ます。本当にSOPの問題なのか否か、慎重に調査しましょう。少なくとも、そいつに対しては、キチンとした現行SOPの再教育訓練とその理解の評価を適切に実施しましょう。ただし、この手の問題児の場合、次項に示すような、別の問題にすり替えて言い出すことが多いように思います*3。
● 自分の不手際を教育訓練のせいにする奴
【背景】
自身の不手際を「教育訓練が適切に行われなかったからだ。」とか「こんな教育訓練を受けた覚えはない。」とか、教育訓練の不備のせいにする奴のことです。
【問題点】
前項と同様に、複数の作業者から同様のミスが多発する場合で、かつSOPに特に問題がない場合においては、確かに教育訓練の不備が考えられます。しかし、特定の一人と言うことであり、他の作業者からは「いや、ちゃんと教育訓練は実施されたよ。」とか、「いや、あれはそういうことじゃないよ。」とかの実態がハッキリしている場合は、単に、そいつの逃げ口上と考えるのが妥当でしょう。
【個人的な解釈と意見】
前項で紹介した「自分の作業ミスをSOPの問題にすり替えようとする奴」が、「SOPに問題はないよ。ミスしているのは君だけだよ。」と言い逃れが聞かなくなった際に、2段階目の言い訳として言い出すことが多いように思います。要は、SOPのせいに出来ないんだったら、教育訓練のせいにするという、良く言っても悪く言っても単純なおバカ行動といったところでしょうか。ちなみに、この手の問題児、この2段階で不利になると、次項のような台詞を吐くように思われます。
● 自分の不手際を責任者や管理者のせいにする奴
【背景】
ずばり、自身の不手際を「●●さんが悪い。」とか「▲▲さんのせいだ。」と、責任者や管理者のせいにする奴のことです。
【問題点】
前々項・前項で、SOPの問題でも教育訓練の問題でもないと明確に指摘された奴が、二進も三進も(にっちもさっちも)行かなくなり、言い訳を通り越して、捨て台詞的に言い出すことが多く、マジに始末が悪いと言えます。
【個人的な解釈と意見】
大方の場合、責任者や管理者に直接的な罪はないと言えます。ただ、こういう問題児を更生もさせずに、適格性も評価せずに作業に就かせていたという事実、まして品質に問題を生じさせた場合(品質リスクの可能性が高い場合を含む)の責任は彼らにあります。そういう意味においては、この手の問題児を会社・製造所として如何に処遇するかは予め決めておきましょう。
ちなみに、逆パターンである、作業員から「コレコレの問題があります。」とか、「コレコレを改善したいのですが?」といった提案をネグっていた場合は、それは責任者・管理者の資質とともに、責任者・管理者の職務不履行とみなされます。残念なことに。最近は、この手の「自分の不手際を作業員のせいにする責任者・管理者(場合によっては、社長を含む上級経営陣)」が少なからず発生しているように思えてなりません。いずれ機会があれば、『お宅にはこんな人いませんか?/責任者・管理者編』とでもしてお伝え出来ればと思います(予告か? でもコレについては現実のほうがフィクションを超えているような気がしますが、いかがでしょうか!?)。
● 捨て台詞として他工場(他社)の話題を言い出す奴
【背景】
上記の流れで二進も三進も行かなくなり、(同社で複数工場を有するような場合)「●●工場だって、■■じゃないか。」とか、「●●工場は、▲▲だからね。」とか、挙句の果てには、「●●工場は、▼▼さんが管理者だからいいけど、あんたは◆◆でしょーもないんだよ。」と言い出す奴のことです*3。
【問題点】
他工場から異動した者に多いパターンかと思います。他工場のほうがマシという場合もあれば、他工場だって同じことやっているのに、なんで俺が責められるんだという場合があるかと思います。
ちなみに、他工場に限定される訳ではなく、中途採用者にあっては他社との比較で言ってくる場合もあります。
【個人的な解釈と意見】
大方の場合は、根拠の無い捨て台詞なので、相手しないことをお勧めします。もし当該者が、「こんな会社辞めてやる!」と言ったら、早々に辞めて貰いましょう。この手の輩、どこでも同じことを言ってるんだと思います。少なくとも、Quality Cultureの阻害要因(要員?)の排除には繋がると思います。
ただ、もし万が一、他社はともかくとして、自社内の他工場で、捨て台詞を吐いた輩の言ったことがその通りであったとすれば、それは取りも直さず、会社上の問題であり、経営者の責任であることは間違いありません。現実にそれっぽい事案も発生しています。「事実は小説よりも奇なり」とは、良く言ったものだと思います。
いかがでしたでしょうか。「うちにもいるわー!」と思うのであれば、気をつけましょう。製造部門の場合、製造記録や品質試験の結果といった目に見える形になることから、多くの場合は発覚するので実情がバレる、言い方が悪いですね、真実が暴露されるとしておきましょう。ということで、気をつけましょうね。
1年は早いもので、もう師走。今年はコロナ一色で、大方は嫌な年になってしまったように思います。来年は、良い年になってほしいものです。
では、少し早いですが、良い年をお迎えください。
See you next time on the WEB.
【徒然後記】
レッドブル
「レッドブル(Red Bull)」、あのTVのCMでもご存知のエナジードリンクの話である。それは、まだ日本で販売される以前のことである(ネットによれば、日本へは2005年12月にクラブやバーに登場し、一般販売は2006年4月以降とのことである)。
委託先監査のために英国出張中、夜も遅くなり、周囲に店もなかったため、宿泊ホテル内で夕食を取ることにした。筆者、アルコール飲料は飲まない(飲めない)ため、ソフトドリンクを頼むことに。日本国内でもソフトドリンクのメニューは限られているが、欧米では特殊なバーでもない限りノンアルコールドリンクは種類が少ない。たまたま、「Red Bull」という文字が目に留まる。初めて目にした飲み物。「コレッて何?」と質問。「炭酸のきいたエナジードリンク」とのウェイトレスさんの答え。「じゃー、それを。」と注文。初めて口にする。悪くないし、嫌いじゃない。
と言うことで、御代わりする(缶として2本目)。すると可愛いウェイトレスさんが、何となく、ほくそ笑むと言った感じの表情を浮かべる。その際は、その笑いの意味が理解できなかった。後日、欧州での「Red Bull」の位置づけは、“精力増強剤”だと知る。そうか、あの時のウェイトレスさんの笑みは、「この日本人、Red Bullを2本も飲んで今晩何をするつもり!?」という笑みだったと気づく。今思えば、間違いなく、そんなニュアンスの笑みであった。
『ウェイトレスさん、安心してください。私は、あの晩、翌日の監査の事前チェックをして、“何事も無く”そのまま寝ましたから。』
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《余計なお世話の独り言》
表向きの自己点検だけでなく、作業員からの事情聴取のような裏事情(本音と実態)の調査を実施してみては、いかがでしょうか。これこそが、“新の自己点検(self-inspection)”のような気がしないでもありません。少なくとも、“内部監査(internal audit)”ではありますよね? ただ、GMPやGQPを深く理解している第三者(利害に無関係な立場の者)がどれだけおられるかという疑問がありますけど・・・。そんな状況を理解し中立を保てる者がおらず、理不尽に圧力だけをかけて来る上司や経営者が多いから問題が多発しているんだってか? すいません、その通りですね。
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