【医薬品工場建設のノウハウ】リーンクオリフィケーションアプローチの考え方を取り入れたプロジェクト遂行について【第3回】

2020/10/30 製造(GMDP)

伊藤 崇

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

今回はプロジェクトの中で実施するリスクアセスメントをいくつか説明いたします。

(4)GMPコンプライアンスアセスメント(GMP Compliance Assessment GMPCA)
GMPコンプライアンスアセスメント(GMPCA)は、プロジェクトで適用することとしたGMPに関する法規制(JGMP、cGMP、EU GMP、PICS GMP等)に対して、それらの法規の要件がURBや設計図書へ反映されているか確認、評価を行う活動です。GMPCAはクオリフィケーション実施前のプロジェクト初期段階で実施し、URBや設計図書に要件の不足があった場合は該当する図書を改訂し、要件を反映します。この活動によって完全性の高いURBの作成、円滑なクオリフィケーション遂行へ繋げることができます。当社のクオリフィケーション遂行では下図のようなチェックシートを用いて、GMPの要求事項の内、施設及び設備に関する要求事項について確認し、GMPへの適合性を評価します。
 

 


(5)システムクラシフィケーション(System Classification SC)
システムクラシフィケーション※(SC)ではプロジェクトで導入する全ての施設及び設備を「システム」に分類し、システムごとにクオリフィケーション対象か否かを決定する活動です。SCでは第1回目で触れたクオリフィケーションの“単位” に配慮し、システム分類を行うことが重要です。システム分類を行う際は、発注する施工会社やサプライヤー、工事のスケジュール等を考慮し、システムバウンダリーを決定します。このシステムバウンダリーをうまく行わないと非効率なクオリフィケーション遂行を招く可能性があるため、関係者と十分な検討を行って決定することが重要です。
分類したシステムに対してインパクトアセスメントを実施し、該当システムがクオリフィケーション対象か否かを決定します。さらにクオリフィケーション対象と判定されたシステムに対しては、コンピュータ化システムに対するバリデーション方針も決定します。コンピュータ化システムについてはシステムごとに形態分類とソフトウェアカテゴリ分類を行い、分類に応じたコンピュータ化システムのバリデーション実施方法を決定しています。

※「システムクラシフィケーション」はISPEがC&Q2nd editionで使用している用語で、今後この用語が業界標準的な用語になるであろうと推測し、LQAでもこの用語を採用しました。

 

2ページ中 1ページ目

執筆者について

伊藤 崇

経歴 株式会社シーエムプラス エンジニアリング事業部バリデーション部 部長
東京都立大学工学部機械工学科卒業、明治製菓株式会社に入社し設備エンジニアとして、菓子製造、無菌製剤・経口剤製造設備、発酵原薬製造設備また海外では、インドネシア、スペイン、インドの製薬工場のエンジニアリングを経験し現在に至る。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

4件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年2月26日 (水) ~ 2月28日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第19期

2025年6月16日(月)10:30-16:30~2025年6月17日(火)10:30-16:30

門外漢のためのGMP超入門

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます