実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第7回】

2015/11/19 その他

 前回、「トップダウンとボトムアップ」の使い分けについて、とくに「トップダウン」を取り上げた。強固なPM体制、PMOの設置、それに伴う人事制度の大幅な改定には「トップダウン」が必要であり、理解を深めるための講演会・ワークショップや支援を得るための根回し作業が必要であることを述べた。今回、前回に続き「トップダウンとボトムアップ」の使い分けについて、とくに「ボトムアップ」を紹介する。なお、プロジェクトの進捗管理業務に限定しない広義の「ボトムアップ」、すなわち開発提案を含む業務改善提案についても考えてみたい。

 まず、「ボトムアップ」のプラス面を考えてみよう。現場の社員が現状の課題を整理・分析し、新しい開発提案を行うこと、さらには効率的・効果的な改善を継続的に行いながら場合によっては他組織の業務改善にも結び付けることができることである。社員の業務負荷もそれほど増えず、社員が各々の現場で得た情報を経営層も含めて社内に共有することができる。これにより、現場の社員が自分の仕事に責任と誇りを持ち、自主的に意見を述べることができ、社員の働き甲斐にもつながることが考えられる。マイナス面は何と言っても通常は全社的な大きな取り組みができ難いことである。
 なお、生産部門における「ボトムアップ」、たとえば、「QCサークル」や「カイゼン」活動などについては、多くの解説書やテキストが出版されているので、詳細はそれらに譲る。
 良いことずくめの「ボトムアップ」であるが、単に「ボトムアップ」を奨励するだけでは実質的な効果はなかなか期待できない。準備の一つとして「ボトムアップ」には仕組み作りが重要となる。まず、開発品か製品かを問わず、その提案の対応ルートを明確にしておく必要がある。

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執筆者について

熊谷 文男

経歴 筑波大学大学院客員教授、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、東京薬科大学非常勤講師
1975年 中外製薬(株)入社。研究開発、プロジェクトマネジメント、人財育成などの業務を経験。米国駐在時には、国際開発も担当。国公私立大学、各種学会・セミナー、大手企業での講演や執筆は多数。現役水泳選手及びスキンダイビングインストラクター。製薬企業米国駐在員OB/OG会「アメリカファルマ会」会長、世界の難病の子供たちを救うNPO「荻田修平基金」 理事、就活支援組織「メディカルカレッジ」アドバイザリーボードメンバー、医薬品業界における「社会人基礎力研究会」アドバイザー、幼稚園理事長・園長、総合旅行業務取扱管理者、等。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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