化粧品製造時でのトラブルシューティング

2015/10/01 その他

江沢 総

 最初に述べておきたいことは、化粧品の製造に限らず製造現場では大小を問わず毎日トラブルが発生しているということです。そのうち上司に報告されるものは影響が大きいと思われるものであり、日常の小さなトラブルは上司が知らないことが多いのではないでしょうか。毎日発生するであろう小さなトラブルでも見えるようにするシステムを構築している企業もあるでしょうが、多くの企業ではこの小さなトラブルは見過ごされているのではないかという仮説のもと、本稿では毎日発生するトラブルにどう対処するかを考えてみたい。

1. 化粧品製造時でのトラブル
 
一般的な化粧品(スキンケア、ヘアケアなど)の製造は大きく分けると中身の製造、中身の容器への充填、充填品の包装になります。それぞれの製造工程で発生するトラブルは無数ありますが主として下記のようなものがあります。トラブルが多い順は充填品の包装、中身の充填、中身の製造といえます。また、トラブルによる損失は手直しが難しいと大きくなります。たとえば、中身の製造では中身が全て不良となる場合が多く、使用したすべての原料費が、中身の充填では充填済みの容器は再使用が難しく、その容器代が全て損失となります。
 
中身の製造
・異物混入(洗浄剤、殺菌剤、洗浄水、シールかす、シールオイル、前に製造した中身)
・原料関連(使用間違い、計量間違い、投入順間違い)
・操作条件間違い(撹拌時間、撹拌速度、加温(冷却)温度、加温(冷却)速度
・菌汚染
中身の充填
・異物混入(洗浄剤、殺菌剤、洗浄水、前に使用した中身)
・菌汚染
・容器関連(使用間違い、中身の漏れ、傷、汚れ)
・ヒートシール不良
・ロット印字(ロットなし、ロット間違い、位置間違い、不鮮明)
充填品の包装
・ロット印字(ロットなし、ロット間違い、位置間違い、不鮮明)
・納書(納書違い、入れ忘れ)
・ラベル貼布(ラベルなし、ラベル間違い、位置間違い、汚れ)
 
 製造以外では使用する原料・包材の不良、作業指示書の間違い(ロット指示、使用原料/容器の間違い、数量間違い)、検査の間違いなどもあります。
 

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執筆者について

江沢 総

経歴 1978年、食品会社入社。医薬品バルク、健康食品、飼料添加物等の品質管理に従事。その後、化粧品会社にて輸入化粧品、医療機器、医薬部外品、健康食品、洗剤類等の品質保証体制の構築に携わった後、工場長を務める。
分析化学、品質監査、各種標準化、QCサークル活動と5Sに関する知識・経験を有し、ISO9000、GMPに基づく品質マネジメントシステムの構築、工場マネジメントを専門とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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