GMP適合性調査における6つのサブシステム【第8回】

2019/12/13 品質システム

1.包装・表示システムの目的
「包装・表示システム」は、包装・表示材料の受入と確認並びに保管・出庫に係わる事項、および包装表示工程で、正しい包装・表示材料を使用し、正しい包装・表示を保証することに係わる事項が運用管理されているかどうかを確認することが目的である。

2.包装・表示システムにおける確認事項
5-01:手順書・記録書    
 4-01:手順書類、4-02:製造指図・記録書管理と重複。
 「包装・表示システム」においても、手順書類の整備は必須であり、上位の管理基準書の他に、製造作業環境の維持、並びに製造工程、工程管理、及びバリデーション等の手順を文書化しておかなければならない。

5-02:作業前確認
 4-03:作業前確認と重複
 「製造システム」4-03:作業前確認に記載の通り、製造前には、製造設備が清浄であること確認しなければならない。確認とは、記録を伴うものであり、異種混同を避けるために作業室や包装ラインに品目名や製造番号の表示を行うとともに、前回製造における残留物がないこと(ラインクリアランス)を確認する必要がある。

5-03:表示材料管理    
 表示材料の管理で、まず考えなければならないのは、印刷物(ラベル、添付文書、個装箱等)の版の管理である。日本の薬機法では、それぞれに記載しなければならない事項が定められていて、医薬品製造販売承認書の記載との齟齬は、法令違反となり、自主回収の対象となる。
 また、印刷物(ラベル、添付文書、個装箱等)の版が改訂されたにも関わらず、旧版間違ってしまったという事例もある。版が改訂された場合は、旧版が出庫できないようにシステムでロックを掛けるか、改訂版が入庫したら速やかに旧版を廃棄することである。

5-04:工程管理    
 4-04:工程管理と重複。
 「包装・表示システム」における工程管理では、5-03:表示材料管理に記載の通り、倉庫から搬入した印刷物(ラベル、添付文書、個装箱等)が、製造指図書で指示された品目、版(製造番号)であることを確認することが重要である。また確認した記録を作成すること。
 また、「製造システム」4-03:作業前確認に記載の通り、製造前には、製造設備が清浄であること確認しなければならない。異種混同を避けるため、品目名、製造番号の表示や前回製造における残留物がないこと(ラインクリアランス)を確認する必要がある。

5-05:汚染・混同防止    
 4-05:異物混入・汚染・混同防止と重複。
 異物混入、異種混同を避けるため、品目名、製造番号の表示や前回製造における残留物がないこと(ラインクリアランス)を確認する必要がある。

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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