リスクアセスメント&マネジメント(RAMP)【第5回】

2015/06/15 品質システム

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2.ここでは、原料管理、製造所管理、バリデーション、変更管理に関してのリスクmanagementを解説する
 

2-1 製造所管理
製造所管理に関するリスクは、主として下記の2点が挙げられる

a)製造の持続性;医薬品のlifecycleを考慮して、原料の供給原はその供給の永続性が求められる。

持続性が維持されない要因(リスク)は次が挙げられる。
会社の規模・財務状況、経営方針、乗っ取り・吸収合併、採算性、自然災害に対する復興計画の準備、パンデミックに対する防御計画の有無

b)製造される医薬品・原料の安全性・品質の均一が要求項であり、この担保がリスク管理となる。
 

リスクmanagementに先立ち原料、製造設備、人員、品質管理、包装表示、輸送・保管においてのリスクの特定が要求される。
 

地政学的リスク

製造所の所在地・地域の安定性(対テロ、中央・地方政府の安定性)に関するリスクをここでは示す。

1. 所在地から医薬品製造サイトまでの輸送岐路の距離、遠距離になればリスクとなる。

2. API/中間体・製品の通過する地域の安定性もしくは紛争の可能性の有無;例えば、ソマリア沖、ロシア鉄道、ホルムズ海峡、マラッカ海峡等を通過するならば、リスクとなる

3. 製造所の所在地・地域の安定性(対テロ、中央・地方政府の安定性)

4. 建設する、存在する地域のriskの有無;例えば テロ・クーデターの可能性、インフレ・デフォルト等の経済困難性、国境紛争、地域紛争・宗教対立、民族・人種等の差別、偏見・移動等の国内問題、社会格差・貧困問題の社会性問題

5. 自然災害;地震、津波、台風・ハリケーンの発生の確率は、自然災害における地政学リスクなリスクとなる。

6. 法律の有効性 (普遍性)が担保されているかが、所在国の地政学的リスクとなる

7. 原子力発電所の事故は、製造所との距離は、同じく地政学リスクとなる。
 

製造の安定性・均一性に関するリスク

1. 原料の調達能力・availability (特に生物・生体由来)が要求量・質を満足させることが出来ないリスク

2. 原料の調達・輸送時の地政学的リスク

3. 製造の能力特に年間の製造能力が、当該の医薬品の製造に必要量を満たすかのリスク、製造規模の拡大ができるか、設備、人的面のリスク

4. 製造量の増加に伴う原料・製品の物流に関するリスク;倉庫の容量、輸送量の確保が出来ないリスクは次を参照
 

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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