第74話:GMPオノマトペ
はじめに
時間の過ぎるのは早いものです。2024年も年末と言える時期となってしまいました。さて、この「ドマさんの徒然なるままに」、2024年最後の話として、マジメな話とするか、この一年を笑って済ませ来年への英気を養うか、ちょっと悩んだ挙句、後者をチョイスしてみました。
ということを言い訳として、本話は中身が超薄いですが、“年忘れ”のつもりでお読みいただければ幸甚です。
さて、読者の皆様も「オノマトペ」なる言葉は聞いたことがあると思います。「オノマトペ」、辞書によると、音や声、動作などを音声化して示す方法のことで、大きく分けると、擬音語、擬声語、擬態語の3種類があるとのことです*1。
それぞれを具体的に説明すると、ガチャン、ジョキジョキなどの物の音を言葉で表したのが擬音語、ワンワン・ブーブーなど人や動物の声をまねたのが擬声語、キラキラ・テキパキなど状態をまねたものが擬態語とのことですが、筆者も知らなかった色々な語があるようです*2。
そこで、GMP省令の条項(要件)に対する行動のイメージ(心理状態を含む)を「オトマトペ風のそれっぽい語」に置き換えてみました。あくまで筆者個人のイメージということで、語の意味するところや心理状況をカッコ内に付記しました*3。読者のイメージに沿わないかもしれませんが、その点はあらかじめご容赦ください。
ではスタート!
● 承認事項の遵守
[マジメ会社] キッチリカッチリ(ガチガチ・ギチギチと言えるほどナーバスになっていますね)
[普通の会社] シックリ(ある意味、しれっとやっているようですね)
[ダメな会社] アーアー(ヤル気が失せているdisappointedな雰囲気ですかね)
● 医薬品品質システム
[マジメ会社] マダマダ(気合い十分でございます)
[普通の会社] コツコツ(地道にやっていることは伝わります)
[ダメな会社] ヤレヤレ(もう勘弁してくれ状態ですかね)
● 品質リスクマネジメント
[マジメ会社] アレモソレモコレモ(卒なく漏れなく抜け目なくって感じかな)
[普通の会社] コッチモソッチモ(意欲はあるが心配状態でもあるようです)
[ダメな会社] ダイジョーブ(自信過剰、ダメな会社ほど大丈夫だと思い込んでいることが多いんですよね)
● 製造部門及び品質部門
[マジメ会社] セキムブンターン(独立性と役割分担に自信あり)
[普通の会社] ベツベツネ(要件としての自覚あり、中身は???)
[ダメな会社] ソンナノイルカー(要件の意味が理解できていないようです)
● 製造管理者
[マジメ会社] ビシバシビシバシ(体罰はありませんが口喧しい方なんでしょうか)
[普通の会社] ガンバリマッス(意欲だけはあるようです)
[ダメな会社] ナニスルノー(自分の役割と責任を理解していないってか)
● 職員
[マジメ会社] ヨッシャー(意欲的です)
[普通の会社] ガンバルンジャー(GMP戦隊みたいですね。ちょっと他人事っぽい感じもしますが、掛け声は立派です)
[ダメな会社] エエーッ(ほとんどヤル気ないですね)
● 医薬品製品標準書
[マジメ会社] キチンキチン(褒めてあげましょう)
[普通の会社] ソコソコ(100点満点とは言い難いが・・・)
[ダメな会社] ヌケヌケ(GMP違反になっちゃいますよ)
● 手順書等
[マジメ会社] ソノトーリ(自信満々、中身が伴っていれば良いですけど)
[普通の会社] ソウソウ(手順書は用意されているが、運用が問題ないかはちょっと疑問)
[ダメな会社] ナンジャ(手順書の準備も運用もかなり怪しい)
● 交叉汚染の防止
[マジメ会社] ナイナイナイ(自信過剰でないことを祈ります)
[普通の会社] タイサクタイサク(ちょっと心配がありそう)
[ダメな会社] ヤッチマッタナ(逸脱どころじゃすみませんよ)
● 構造設備
[マジメ会社] シーンパイナイカラネ(KANの「愛は勝つ」の雰囲気ですかね?)
[普通の会社] テンケーン(そう大事なことです)
[ダメな会社] マダイケール(ケチ根性を出すとろくなことないですよ)
● 製造管理
[マジメ会社] ヨーシヨーシ(何事にも慎重かつ丁寧にね)
[普通の会社] ダブルチェーック(そうそう、現場では大切なことです)
[ダメな会社] ミテナーイキロクナーイ(ほぼ絶望的ですね)
● 品質管理
[マジメ会社] コレモデータアレモデータタブンデータキットデータ(お宅は、松坂慶子の「愛の水中花」の状態ですか?)
[普通の会社] ヤレヤレ(何も問題無いことはベストですよ)
[ダメな会社] シランガナ(ちょっと待ってくれませんか?)
● 安定性モニタリング
[マジメ会社] ヘイジョウドーリ(そうそう、普通は問題無いのが当たり前ですからね)
[普通の会社] チョイチョイチョイ(外れそうな心当たりがあるんですか?)
[ダメな会社] ヘーキヘーキ(この手の会社が自主回収するんですよね)
● 製品品質の照査
[マジメ会社] ヤルゾー(その心意気を買います)
[普通の会社] サテサテ(面倒であることは理解していますが、大事な作業です)
[ダメな会社] ヨッコラショ(何となく心細いんですけど)
● 原料等の供給者の管理
[マジメ会社] ガンバリマッス(そう頑張ってくださいね)
[普通の会社] ヤルッキャナイ(大変な作業ですが必要なことです)
[ダメな会社] イインジャナイ(コレッてやらなくてもいいの意味?)
● 外部委託業者の管理
[マジメ会社] チョウサカンサ(受託業者の立場にもなってくださいね)
[普通の会社] シカタナイケド(面倒ですが大事なことは必須と考えましょう)
[ダメな会社] ソコマデヤルノー(ダメだ、こりゃ!)
● 製造所からの出荷の管理
[マジメ会社] マカセナサイ(頼れる、頼られる存在になりたいものです)
[普通の会社] ワタシデスヨネ(誰だって責任を負わされるのは嫌なものです)
[ダメな会社] ヤダヤダヤダー(こういう者を出荷責任(承認)者にしてはいけません)
● バリデーション
[マジメ会社] イケルイケル(バックデータに自信ありで、これが本来と考えます)
[普通の会社] ドウニカコウニカ(現実にはこの状況かと思います)
[ダメな会社] メンドクセー(そういうことじゃないんですけど・・・)
● 変更の管理
[マジメ会社] カイリチェックソゴチェック(製造販売業者による承認書記載事項はマメにチェックしましょうね、製造販売業者もチャンと教えてあげてね)
[普通の会社] コレモカソレハ(心配性なのか何となくビクビクしている)
[ダメな会社] イチヘンッテナニ(一から勉強し直しましょうね)
● 逸脱の管理
[マジメ会社] チョウサチョウサ(結果よりも原因のほうが大事と考えます)
[普通の会社] タイヘンダー(普通はこうなります)
[ダメな会社] マタナニカ(お宅、逸脱多すぎなんじゃね?)
● 品質情報及び品質不良等の処理
[マジメ会社] エイキョウハ(まず確認したい点は患者への影響なんじゃないですかね?)
[普通の会社] ドウシタドウシタ(普通は焦りますよね?)
[ダメな会社] ウザイウザイ(それじゃ、Warning Letters出されている製造所と同じなんだわ)
● 回収等の処理
[マジメ会社] ホカノロットハ(普通は当該ロットだけじゃないと思いますよ)
[普通の会社] マダカマダカ(連絡が遅れれば、それだけ現物回収は遅れます)
[ダメな会社] ソンナノモンダイナイヨ(危ない会社なんだわ)
● 自己点検
[マジメ会社] カイゼンジャー(別のGMP戦隊みたいですね。あくまで改善という目的重視で攻めましょう)
[普通の会社] チャントヤレ(頻度も内容も稚拙じゃ意味をなしません)
[ダメな会社] コトシハパス(ほとんど改善意識は無いと言えます)
● 教育訓練
[マジメ会社] オシエルンジャーオソワルンジャー(このGMP戦隊は実効性評価のチェック部隊なんでしょうか。お宅にもいるって? ちょっと怖っ!?)
[普通の会社] コレニシボロウ(頻度や回数、さらに場合によっては対象者も絞って実施しましょう)
[ダメな会社] モーアキタヨ(実施する側、受ける側の両者に問題があるんじゃね)
● 文書及び記録の管理
[マジメ会社] キチョーメンキチョーメン(個人的には、コレが普通じゃないかと思います)
[普通の会社] ヌケモレナイカ(抜け・漏れはDI以前の話なんじゃないかと思います)
[ダメな会社] ワスレタ(違反どころじゃ済まないですよ)
おわりに
うーん、年忘れのつもりで書きましたが、思いの外、中身無かったようで申し訳ありません。でも、ふざけて書いたわけではなく、私のイメージが読者の皆さんに伝わるかどうか結構悩みながら書きました。GMPの要件、ときに勉強と称して頭から条項を覚えようとする方々や条項をそのまま抜き書きして読み上げるだけの先生を見受けますが、私としては「あくまで行動として実践できれば良い」としか思っていないため、自分なりのイメージで捉えてみました。それが何の役に立つのかと問われれば、書いた本人が言うのも何ですが、GMPの勉強としては役に立たないでしょうね。でも、GMP云々を上司に言われて仕方なくとか、仕事だからしぶしぶ(渋々)やっているという状況から脱却し、自らの意思・意欲で理解を深めて納得してやりたいという方々にあっては、こんなバカな方法もありなんじゃないかと思っています。
ただ内容とは別に、段階の異なる三者のパターン、昭和時代を過ごした方は分かると思いますが、書き方としては「欽ドン(欽ちゃんのドンとやってみよう!)の良い子悪い子普通の子」みたいだと思ったんじゃないでしょうか。それはそれで懐かしく感じていただければありがたいです*4。少なくとも、年越しで頭を悩ませることにはならないということで、お許しください。
ということで、ちょっと早いですが、良い年をお迎えください。
では、また。See you next time on the WEB.
【徒然後記】
シュワキマセリ
日本では11月後半からクリスマスシーズンということになるのだろうか。TVやショッピングモールなどで「もろびとこぞりて」が流れて来る。正直に言う。子供の頃、歌詞の「主は来ませり 主は来ませり 主は、主は来ませり」の意味が分からず、「シュワキマセリ」が何となく呪文のように聞こえていた。子供心に、「クリスマスって、イエス・キリストの誕生日(何故かそれは知っていた)なのに、なんで呪文を唱えるんだろー?」と思っていた。「シュワキマセリ シュワキマセリ シュワー、シュワーキマセリ」と音声として聞くと何となく呪文のように聞こえません? 聞こえないって? すいません。私だけかー。子供の頃からこんななので、クリスチャンに「この愚か者」って叱責されるかな!? そもそも信仰心は超薄いけど仏教徒だし・・・。
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*1:「オノマトペ」、元々は、古代ギリシア語の「onoma(名前)」と「poiein(作る)」を組み合わせた「onomatopoiia(オノマトポイーア)」に由来するとされています。ちなみに、英語では「onomatopoeia(オノマトペア)」、フランス語では「onomatopēe(オノマトペ)」と呼ばれているようです。
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