【第18回】デジタルヘルスで切り拓く未来
「身近になるデジタルツイン」
●要旨
デジタルツインという言葉が身近になりました。健康に関するデジタルツインについても具体化しつつあります。デジタルヘルスが日常のものとなる中で、メタバース空間に構築されるあなたのデジタルツインについて考えてみます。プレシジョンメディスンの実現にはデジタルツインが背景にありますが、私たちの心の動きや社会とのコミュニケーションも大切です。また、どのような形でデジタルツインが表されるかによる影響がありそうです。しっかり注目していきましょう。
●はじめに デジタルツイン?クローン?
デジタルツインという言葉を聞くようになりました。まちづくりやインフラの管理などの分野でよく使われています。管理や計画など様々な活用方法があることがわかります。健康情報に関してもデジタルツインの話が聞こえています。私たちの健康情報はデジタルで表され、情報の統合が可能です。それをサイバー空間(メタバース)の中で再現することをデジタルツインとしています。
過去に大変に関心を集めたものにクローンがあります。クローン人間の倫理性は大変な問題です。遅れてきた双子のようなものという表現をした方がありましたが、現実空間に存在することを前提にしています。一方、デジタルツインは、触れることができない仮想空間に構築されます。あなたのデジタルツインはどうでしょうか。
<図表> あなたというデジタルツイン
1 ヒューマンメタバースという視点
たくさんのデータを集めて終わりという時代ではありません。しかし、データを集めていくと、また新たなことが見えてきます。そこには、データの取り扱いが極めて効率化し、取り扱えるボリュームも大きくなったことが貢献しています。記録媒体がペラペラの円盤だった頃から見ると、小さなスティックに大変な容量のデータを収めるのは奇跡に見えます。雲・クラウドの中に保存しておくことも日常です。大容量のデータを処理する技術が発達し、さらに活用する機能も発展し、今では、「みんなのためのデータ」から、「あなたのためのデータ」という視点に変化しています。
大阪大学のヒューマンメタバース疾患研究拠点では、蓄積したデータから、あなたの健康に関する情報を取り出すこと、その未来を予想することなど、利活用についての探索を進めています。デジタルツインとして、現在、過去そして未来のあなたの肖像画が描かれると考えればわかりやすいかもしれません。 疾病とライフサイエンスにフォーカスした形で「大規模疾患モデル」が構築されている拠点です。
デジタルヘルスの中で大きな期待が寄せられているプレシジョンメディスンにおいては、特定の個人についての情報が必須です。なんらかのデジタルツインが構築され、予防や治療に関する検討と実施が行われます。
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