【第14回】デジタルヘルスで切り拓く未来

「ガジェットのデザイン」


●要旨
 デジタルヘルスと私たちの身体の間には、情報のやり取りがあり、マンマシンインターフェイスが重要です。これは、ハードウエアである医療機器だけでなく、生命現象を扱うライフサイエンスにおいても、大切な概念であり、デジタルヘルスは包括的に人間を見つめる必要があります。インターフェイスでもあるガジェットのデザインは大変重要です。医療のニーズや願望としっかり向き合うことが求められます。

●はじめに デジタルと人間の繋がり
 筆者が薬事戦略だけでなく、医工連携にも強く関わるようになったのには、きっかけがあります。プロジェクト支援で知り合った研究者が医療福祉とロボティクステクノロジーを手掛けておられ、コアにいわゆる複雑系システム工学がありました。この研究のサポートで、いかに人間を知る必要があるかを痛感し、医工連携の連携とは何かをじっくり考えました。優れたコンセプトでもどこかで人間とモノとの関係性に目を向ける必要があります。
 デジタルヘルスが進むときにも、人間と繋がりがあることに目を向けなければなりません。直接触れることでデータを得たり、介入したりするものもあれば、カメラのように直接的ではないけれどもデータを得たり、視覚や聴覚の刺激で介入したりするものもあります。こうした道具類のデザインにはとても気をつけておく必要があります。

<図表> ガジェットのはたらき

1 ガジェットの色々
 
道具類のことをガジェットと呼ぶことがあります。医療機器やデバイスとも呼びますが、デジタル製品やサービスの業界では、ガジェットという言葉を使うことがあり、海外でのデジタルヘルスの情報では、ガジェットという記載をよく見ます。
 人体との接触が直接的なものの事例として、パルスオキシメーターや、スマートウォッチ、ゴーグル、体温計などがあります。計測のための原理を含めて、リスクを考える必要があります。一方、カメラ等で観察するようなものは、直接触れることを目的としていません。接触という手段は大変重要で、どのくらい触れるのか(繰り返しも含めて)、エネルギーのやり取りはあるのか、などしっかり見つめなければなりません。直接人体に触れることのないカメラでのモニタリングであっても、操作するボタンへの接触はどうでしょうか。強い光や音量で知らせることや遠隔のエネルギー伝達はどうでしょうか。
 最近はガジェットの小型化が進み、便利で快適になりましたが、別のリスクが生じます。例えば、誤飲や、紛失、落下による損傷なども出てくるでしょう。軽量化によってウエアラブルになるものも出てきましたが、正しく使われるでしょうか。
 ガジェットが活躍する部分は、『ラストワンマイル』に相当することが多くあります。例えば、電子的に医療機器等で計測した結果をメモ用紙に筆記具で記録し、それから電子カルテのところへ持っていって、手で入力するようなことがありました。今では、医療機器と電子的にコネクトして、結果を自動的に記録するものもが増えています。データ処理の効率化、ひいては、医療の効率化を目指すための工夫につながり、医療現場の負担軽減と安全性向上につながります。

 

 

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