基礎からのGPSP【第17回】

 

~製造販売後データベース調査の実施①~

 

既存の製造販売後調査等と医療データベースを活用した安全監視の特徴とその可能性を確認し、GPSP及びデータベース調査の実施手順の理解と、如何にして管理運営し、最終的な情報として作り上げていくかを検討する。 

1. 背景
これまでの医薬品の安全対策は、医療機関及び製薬企業からの副作用自発報告及び製薬企業による製造販売後調査を主たる情報源として行われてきたが、それぞれ長所・短所があり安全対策上の評価が困難なこともあり、全てが適切に行われてきたとはいいがたい現状がある。
更に、高齢患者の増加に伴い併存疾患を多く持つ患者が増加していることや、新規医薬品の開発による医療用医薬品の多様化等により、医薬品の使用環境は変化してきているという現状もある。
このため、早くからICH-E2Eにおいても安全性監視活動の計画の構成、様々な観察研究の計画及び規範的な実施方法の原則が提案・提示されてきた。これらの方法の一つとして薬剤疫学的アプローチの有用性が謳われてきたところであり、海外においては、数百万人、数千万人規模の医療情報のデータベースを用いた薬剤疫学研究が既に盛んに実施され、多くの研究成果が公表され、安全対策にも利用されるようになり始めたところである。
しかしながら、国内においては適切な医療情報のデータベースがないことから、安全性監視活動の手法として十分に利用することができずに、海外の利用・活用に後れをとってきたところである。
このような状況のなか、当局により設置された検討会等でとりまとめた提言では、副作用発現状況の適切な把握(使用患者数・副作用等の発生状況)や、安全対策措置の効果の評価ができる情報基盤の整備を進める必要があるとされた。そして、医療情報のデータベース化と医薬品の副作用等に関する情報収集・評価の手法や体制の構築は、市販後安全対策の重要な課題の一つと認識され、医薬品等の安全対策に資するための医療情報データベース構築の必要性、データベースの規模やナショナルレセプトデータベースとの連携への期待等が具体的に示された。
 

これらの経緯により、種々の事業が行政主導で推進され、全国10拠点の医療機関(23施設)に、標準化された医療情報のデータベースと連携のためのネットワーク構築がなされたり、ナショナルレセプトデータベースの運用が開始されるなどし、薬剤疫学的アプローチが可能な基盤が整備されるようになってきたことから、医療情報のデータベースを用いた薬剤疫学研究が実施される機会が増加し、製造販売後調査の法改正を踏まえ、安全性監視活動の一つの手法として「製造販売後データベース調査」が活用されることとなった。

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